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活動が全国に広がり始めて半年。
家族同士のつながりは強まり、医療関係者や研究者との接点も増えていった。
その中で、小宮が中心となって進めていた早老症の研究に、新たな成果が報告された。
「進行を一時的にでも遅らせられる可能性がある」
小宮は白石と美咲に、そう告げた。
まだ臨床試験の段階だが、動物実験や一部の症例で効果が見られたという。
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夜、白石の家のリビングで、健太、美咲、白石の三人が集まった。
小宮から送られてきた資料を前に、美咲は真剣な表情で紙を見つめる。
「…やってみたいです」
迷いのないその声で健太は頷いた。
白石はその様子を見つめながら、胸の奥にわすかな希望が灯るのを感じた。
そして、この光を絶対に離すまいと思った。
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治療法への道は、まだ不安定で険しい。
それでも、彼らの中には確かに変化があった。
日常の中に漂っていた重い影が、少しずつ薄れていく。
紬はそんな大人たちの空気を敏感に感じ取り、
「パパ、早く元気になってね」
と笑顔で言った。
その笑顔が、健太にも白石にも、美咲にも、何よりの力になっていた。




