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美咲との夜の会話から数日後、白石は病院の休憩室で美咲と向かい合って座っていた。机の上には、ノートパソコン、メモ帳、そして幾つもの付箋が散らばっている。
「まずは、奇跡の子がいる家庭が気軽に集まれる場所を作りましょう」
美咲がそう提案すると、白石はすぐに頷いた。
「病院の会議室を使えるよう、院長に話してみるわ。それなら医療のサポート体制も整えやすいし、来やすいでしょう。」
白石はすでに動き方を頭の中で組み立てていた。
二人はノートに項目を書き出していった。
•定期的な交流会の開催
•医療的な不安や症状について話せる相談時間の設定
•兄弟姉妹や家族が参加できるワークショップ
•匿名でも相談できるオンライン窓口の開設
「オンラインの方は、私がSNSや掲示板の管理をやります。家から出られない人も参加できるようにしたいんです」
美咲の声には、はっきりとした熱があった。
「私は医師として情報を整理して、正しい知識を発信するわ。それと、参加した家庭同士がつながれるように仲介もしていきたい」
白石の瞳にも、強い決意が宿っていた。
その日のうちに、美咲はチラシのデザインを作り始め、白石は病院内外のネットワークを使って協力者を募った。




