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紬と健太が寝静まった後、リビングの薄暗い灯りの下で、白石は美咲の隣に座った。静かな空間の中で、二人の声が柔らかく響く。
「お義母さん、実は最近、知り合いの中にも奇跡の子がいる家族がいて、その方たちも同じような不安や葛藤を抱えているって聞いたんです」
美咲は少し言葉を詰まらせながら続けた。
「奇跡の子がいることで、周囲から偏見の目で見られたり、差別的な言葉を受けたり……。家族の中でも気持ちがすれ違ってしまったり、支え合うことが難しくなってしまう場合もあるみたいで。私たちだけじゃなく、みんなが苦しんでいることなんだと実感しています。」
白石はじっと美咲の言葉に耳を傾け、静かに頷いた。
「そして、そういう悩みを打ち明ける場所も少なくて、孤独を感じている人も多い。もし私たちが何かできるなら、ちゃんと話を聞いてあげたい。安心できる環境を作ってあげたいんです」
美咲は少し目を潤ませながらも、強い意志を込めて言った。
「でも、どうやって始めたらいいのかわからなくて……。私たちだからこそできること、あるんじゃないかと思うんです。」
白石は優しく美咲の手を握りしめ、力強く語った。
「あなたの言う通りね。これまで家族だけの問題だと思っていたけど、もっと広い視点で取り組むべきなのかもしれないわ。医師としても、母としても、できることを考えましょう。」
美咲はほっとしたように微笑み、深く息をついた。




