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白石からの連絡を終えた小宮は、研究室のデスクに戻った。健太の体調については、まだ深刻な段階ではないものの、注意深く観察する必要があるとの報告だった。
「症状は軽微でも、これからどう変化していくか分からないからな…」小宮は解析データをじっと見つめながらつぶやいた。
これまでの仮説に基づくモデルと照らし合わせ、最新の情報を反映させてデータを再確認する。健太の症例は初期段階にあり、これから進行していく可能性があることを念頭に置かなければならない。
「現時点でできることは、症状の進行を遅らせる方法の模索と、定期的なモニタリング体制の強化だな」彼は慎重に方針を見直し、メモを取った。
治療法の研究も、より安全で効果的なものを探る必要があると考え、薬物療法や生活改善の指針を検討し始めた。
「まずは白石医師と連携しながら、健太の状態を逐次把握していこう」
小宮の表情は落ち着いていたが、その眼差しには決意が宿っていた。




