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奇跡の胎動  作者: めい


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29/86

6-2


夕暮れの空がゆっくりと茜色に染まる帰り道。

健太は意識してゆっくり歩こうとしたけれど、足の裏が少し汗ばんでいるのに気づいた。

隣で話す美咲の声は、いつもより少しだけ震えていて、その緊張がこちらにも伝わってきた。


「こ、こっちの道で…いいかな?」

小さく漏れた言葉に、健太は思わず目を合わせてしまう。

その一瞬、美咲の頬がほんのり赤く染まっていることに気づき、胸の奥がふわりと熱くなった。


「う、うん、そうだね」

声が少し裏返ったことに自分でも驚きながら、慌てて顔を背ける。

心臓が爆発しそうなほど速く鼓動していて、手のひらが汗ばんでいるのもわかった。


二人の歩幅が自然と合わさって、知らず知らずのうちに肩が触れそうになる。

その感覚に、健太は急に冷たい風が顔を撫でるのを感じたふりをして、視線を足元に落とす。


「えっと、また…今度も、一緒に帰ろうか?」

美咲の声はかすかに震え、彼女は視線を落としたまま小さく呟いた。

その控えめな誘いに、健太の胸はぎゅっと締めつけられるようだった。


「うん、いいよ」

やっと絞り出した言葉はどこかぎこちなく、言い終わった後、慌てて笑顔を作ろうとする。

だが口元が引きつってしまい、自分でも苦笑した。


頭の中はぐちゃぐちゃで、何度も「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせる。

でも、心の奥のほんの小さな場所に、ほのかな温かさが芽生え始めていることに気づいた。


“こんな気持ち、知らなかった。これが、好きってことなのかな”

そう思うと、急に恥ずかしくて、もっと知らない自分を見られるのが怖くなる。


でも、美咲と過ごす時間は、そんな不安も少しだけ和らげてくれる。

二人はまだぎこちなくて、不完全だけど、確かに近づいていっている。


未来のことはわからないけれど、この瞬間だけは、健太の胸に優しい希望が灯っていた。


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