19/20
第19話 もう誰の身代わりにもならない
部門監査の日、早乙女は最後まで取り繕おうとした。
「すべては現場の混乱による誤処理で」
「違います」
私はその声を、自分でも驚くほどまっすぐ出せた。
「あなたは失くしたことにした。返すべき物を沈めて、補償金まで抜いた。私はその身代わりにされただけです」
姫野も、小さな声で認証貸与を認めた。地下四層の棚写真、有賀の資金流用資料、灯の配信記録。言い逃れはもう残っていない。
監査のあと、地上の窓口主任復帰を打診された。
けれど私は首を横へ振った。
「戻りません。私は、誰かの都合で責任をかぶる席には」
保管庫へ戻る廊下で、城崎が隣を歩いた。
「なら、新しい席を作るか」
「新しい席?」
「返却と救助を切り離さない管理室だ。三谷がいる前提で」
胸の奥が、少しだけ熱くなった。




