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第19話 もう誰の身代わりにもならない

部門監査の日、早乙女は最後まで取り繕おうとした。


「すべては現場の混乱による誤処理で」


「違います」


 私はその声を、自分でも驚くほどまっすぐ出せた。


「あなたは失くしたことにした。返すべき物を沈めて、補償金まで抜いた。私はその身代わりにされただけです」


 姫野も、小さな声で認証貸与を認めた。地下四層の棚写真、有賀の資金流用資料、灯の配信記録。言い逃れはもう残っていない。


 監査のあと、地上の窓口主任復帰を打診された。


 けれど私は首を横へ振った。


「戻りません。私は、誰かの都合で責任をかぶる席には」


 保管庫へ戻る廊下で、城崎が隣を歩いた。


「なら、新しい席を作るか」


「新しい席?」


「返却と救助を切り離さない管理室だ。三谷がいる前提で」


 胸の奥が、少しだけ熱くなった。



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