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第20話 返却札の先にある明日
一か月後、東環ダンジョンには「遺失物・救助連携室」という新しい札が下がった。
返却待ち品、救助優先物資、補償審査中の装備。全部を一本の帳で照合し、失くしたままにしないための部屋だ。
私はその最初の主任席に座り、今日も返却札を切っている。
「三谷主任、回収端末三件です」
新人が箱を置く。窓の外では、夜の搬入口へ救助便が入ってきた。
城崎が顔を出し、見慣れた缶コーヒーを机へ置く。
「保管庫じゃなくなっても、返却は必要だろ」
「ちゃんと返してくださいよ」
「毎回言うな」
そう言いながら、彼は少しだけ笑った。
私は新しい返却札へ日付を書く。失くされた物も、奪われた順番も、ここで終わらせて、持ち主の明日へつなぐために。
返却札の先には、ちゃんと次の朝がある。




