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第16話 夜明け前の返却窓口
救助のあとの返却窓口は、いつも少しだけ静かだ。
疲れ切った探索者が、戻ってきた装備を抱えるときだけ、声の温度が変わる。
「これ、兄の形見なんです」
若い探索者が古い短剣を受け取って泣き笑いした。私は返却札へ印をもらいながら、胸の奥で小さく息をつく。
物が返ると、人はそこでようやく前へ進める。
窓口を閉めたあと、城崎が缶コーヒーを二本持ってきた。
「盾、返却」
傷だらけの予備盾を差し出され、私は笑う。
「きれいに使いましたね」
「返す相手がいると、雑に扱えない」
その一言が、不意打ちみたいに優しかった。




