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第15話 最前線に返すべきもの
その夜、五層で群体型魔物の突発湧きが起きた。
前線からの要請は多く、しかも早かった。補助盾、光索、止血パック、予備端末。平時なら倉庫に眠っていた品ばかりだ。
「出せるか」
城崎の問いに、私は即答した。
「出せます。いや、出します」
押収品の中から法的に返還可能な物を切り分け、保管棚の優先順を照合で組み替える。返すべき物を返せば、そのまま命綱になる夜だった。
救助班が走り出る直前、私は城崎へ予備盾を渡した。
「三谷」
「返却です。必ず返してください」
彼は短く笑った。
「了解」
夜明け前、救助は成功した。派手な討伐記録じゃない。でも、必要な物が必要な場所へ戻った結果だ。
私は保管庫の床へ座り込み、ようやく震える指を握りしめた。




