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第12話 闇市に流れた装備箱

地下四層の仮棚から消えた箱が一つあった。


 高位回復薬と補助盾の混載箱。照合をかけると、都営搬入口から外へ出たあと、港側の倉庫街で途切れる。


「闇市ですね」


 灯が即答した。


 私たちは夜明け前、港側倉庫の受け渡し場を張った。城崎の救助班が表で事故対応のふりをし、私は裏で箱番号を追う。


 やがて現れた荷車には、センターの古い返却札が貼られていた。


「あれです」


 箱を開けると、中身は補償請求済みの装備ばかりだった。失くなったとされた物が、値札を貼られて並んでいる。


「返却待ちを売るなんて」


 私は胃の奥が冷えた。


 物を失くした探索者は次の潜行で困る。補償金は別口で抜かれる。二重取りどころじゃない。


 灯のカメラが回り、有賀の押収票が切られる。証拠は、ようやく外へ出た。



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