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第10話 大手クランの偽装破損
白牙フロントは、表向きは事故被害者の顔をしていた。
けれど実態は違う。地下四層から回収した金烏の刀身は、魔物に折られたのではなく柄から外されただけだったし、補償申請済みの魔力槍も無傷だった。
私は有賀補償官と一緒に白牙の臨時倉庫へ行き、照合で一致した品を机へ並べた。
「これ、うちの申請品じゃ……」
渉外担当の顔が引きつる。
「破損扱いで補償請求中の品ですね」
有賀が書類を閉じた。
「現物が無傷で見つかった以上、詐欺未遂で扱います」
その場には配信を回す灯もいて、白牙は大声で否定することすらできなかった。派手なクランほど、証拠を突きつけられたときの崩れ方は早い。
帰り際、城崎が私へ言った。
「三谷の返却札、前線より効くな」
私は少しだけ笑った。
「前線へ戻すための札ですから」




