第2幕「言葉の壁」
『アウレリオンの鏡』第2話では、言葉の通じない二人が、身振り手振りで交流を始めます。
さて、言葉が通じるはずのVELNICAの5人は、ちゃんと意思疎通できるのでしょうか?(笑)
ライブ前の楽屋。
MIYABIはスマートフォンで小説『アウレリオンの鏡』を読んでいた。
言葉の通じない二人の若者が、猫のぬいぐるみと身振り手振りで交流を始める場面だ。
(言葉が通じていても、気持ちを伝えるのは難しい。それなのに……)
MIYABIは右手を目の高さに上げた。
四本の指と親指でくちばしを作り、ぱくぱくと動かす。
「MIYABIさん、何食べてるんすか?」
MINATOが尋ねた。
「食べてない」
「じゃあ、何か食べたいんすか?」
「違う。言葉の通じない相手とのコミュニケーションだ」
「……腹減ったって伝えてるんすか?」
「なぜ食べ物から離れられない?」
TOMOが顔を上げた。
「今度は何を始めた?」
「言葉を使わずに、相手に意思を伝える実験だ」
MIYABIがもう一度、右手をぱくぱくさせる。
SOUがその手を眺めた。
「……アヒル?」
「違う」
「じゃあ、カモ?」
「鳥から離れろ」
「無茶言うなよ! くちばし作ってんの自分だろ!」
TOMOがため息をつく。
「で、結局、何を伝えたいんだ?」
「それを考えている」
「決まってないのかよ!」
SOUが笑った。
「言葉の壁の前に、まず自分の考えを整理しろ!」
MINATOが突然、手を挙げた。
「俺、外国語ならちょっと分かるっすよ!」
「ほう?」
MIYABIが興味を示す。
「ボンジュール! シシカバブ~!」
「それは料理だ」
「えっ?」
「ボンジュール、コマンタレブー、だ。シシカバブは串焼き肉料理」
TOMOがMINATOを見る。
「結局、食い物じゃないか」
「いいじゃないっすか! うまいんだから!」
「食ったことあるのか?」
「ないっす!」
「ないのかよ!」
SOUが笑いながら、REIJIに話を振った。
「なあ、REIJI。お前ならどうする? 言葉が通じない相手と仲良くなるには」
REIJIは少し考えた。
「素直な心と笑顔だ」
一瞬、楽屋が静かになった。
TOMOがうなずく。
「……なるほどな」
MINATOも感心したように言う。
「深いっすね……」
MIYABIは自分の右手を見つめた。
そして、ぱくぱく動かすのをやめた。
「……整った」
SOUが首をかしげる。
「いや、お前のアヒルは結局なんだったんだよ?」
言葉の壁を越える前に、まずは楽屋の5人の意思疎通から。
ちなみに、MIYABIのアヒルが何を伝えたかったのかは、作者にも分かりません。(笑)




