啓示
——————ズキッッッ—————
(・・・・・ぐっ・・・また・・・お大師様!?・・・)
(・・・汝、結び目に到達せし。かの者と協力し結び目を守り修復せしめよ。)
「・・・ちょ・・ちょっと待って下さい。修復って何なんですか?どうやって修復するのか示して頂かないと分かりません!!」
(・・・・汝の力を呼び覚ませ。しからば道は開けん———)
その言葉を残し、フッと解放された。
————出た。またしても、抽象的過ぎて意味が分からないヒント。そして、毎回頭痛で始まる。あの頭痛登場、何とか止めて頂きたい・・・体に悪いから・・・
『・・・殿・・・・明斗殿・・・』
「・・・うぇ・・え・・・あ・・あぁ・・・」
『明斗殿、大丈夫ですか?祠に触れたと思ったらしゃがみこんで・・・一瞬焦りました。』
「・・・はい。すみません。ご心配お掛けしました。この通り、大丈夫・・なようです。」
『・・・何か、あったのですか?祠に触れた後、明斗殿の呪力の流れが一瞬で落ち着きましたが・・・』
(・・・いかん。説明が出来ない。それに、ガルバさんは何が起きたのかが分かってる気がした。)
————そう直感したオレは、アチャラの事以外の事実をありのままにガルバさんに話した。
『・・・なるほど。明斗殿は、違う世界から結び目の修復の為にやって来た。という事ですか。それで、魔を払ったと。』
「・・・・はい。でも、オレが加行していた時の記憶が殆ど無いのは本当です。たまたま発遣が出てきただけで・・・」
『・・・・つまり、覚えていないと言うより、忘れている・・と言った方が正しいですね。』
「・・・・う。・・・面目ない・・・」
『・・・で、その謎の声が明斗殿の頭に直接聞こえてくる。という事ですね。』
「・・・・はい。たぶん、話の内容から察すると、声の主は弘法大師空海だと思うのですが・・・」
日頃から、感じてる推察がポロっと出てしまった。
『・・・・えっ????』
目を丸くするガルバさん。
「・・・・あ・・・」
そのガルバさんの表情を見て、やらかした事が分かる。
『・・・空海とは、あの空海ですか?密教を日本に持ち帰った??』
「・・・・は・・はい。・・・でも、推測です・・・よ!?」
『・・・・例え、推測だとしても一大事です。・・・・空海。あの者は、金剛界と胎蔵界を結び、“結び目”を創った張本人です。』
(・・・・・・・やっぱりやーーーーーん・・・・そんな気がしてたーーーー。)
ガルバさんは五輪塔に手を触れ、祠の反応を確かめるように目を閉じた。
『・・・そして明斗殿。貴殿の中に響いた声が本当に空海であるなら・・・それは、この世界にとって重大な意味を持ちます。』
「・・ど、どう重大なんでしょう・・?」
ガルバさんは静かに言った。
『空海は、結び目を“創る”ことができた唯一の人間。そして、結び目を“修復できる”のも・・・・空海の系譜に連なる者だけです。』
(・・・・え?いやいやいやいや、オレそんな血筋じゃないし!?ただの一般人なんだけど!?)
明斗の動揺をよそに、ガルバさんは淡々と続ける。
『明斗殿。貴殿は“違う世界から来た”と言いましたね。それは、空海が結んだ“界の道”を通って来たということ。』
「・・・・は、はぁ・・・・」
『つまり———
貴殿は空海に“選ばれた”ということです。』
(・・・・・・・・は?いやいやいやいや、選ばれた覚えないんだけど!?
むしろ勝手に巻き込まれたんだけど!?)
ガルバさんは祠の光を見つめながら、さらに核心へ踏み込む。
『そして・・・・貴殿の中に封じられている“存在”。あれは、ただの呪力ではありません。』
明斗の喉がゴクリと鳴る。
『私は、貴殿の中に・・・・』
————その時だった。
—————————ドンっっっ!!!!———————
激しい揺れと共に、天上の一部が崩れ落ちた。
『・・・・!!!』
「・・・・・・・!?!?!?!?」
辺りが、粉塵で見えなくなる。
『・・・くっ!侵入者ですかっ!!明斗さん、姿勢を低くして隠れて下さい!!』
ガルバさんの声だけが響く。
オレは、咄嗟に崩れた瓦礫の影に身をひそめる。
天上に空いた穴から風が入り、土煙を流していく。だんだんと視界が回復してきた。
(・・・・何だ!?・・・人??)
そこには、短い銀髪に、両目が金色に光る、中性的な顔立ちの青年。
・・いや。少年?
年のころは、高校生位か?
が立っていた。




