兆動
————建物の下、地下3階位まで下りた所だろうか。
何も無い空間に扉が一つ。ただ、異様なのは、壁一面に漢字が書かれている。
(————ん?良く見ると、漢字というより、お経??)
そんな事を考えていると、ガルバは扉の前で立ち止まり何かを呟く。
最後に、ハッキリと
『・・・・オーン。』
そう言った。
すると、扉が光ったと思った瞬間。
今までいた小部屋が、巨大な空間に変わった。
(・・・・!?!?!?)
「・・・・えっっ!?・・・何です・・・か?・・・ここ??」
頭が付いていかない。
『・・・ここは、この街の中心となる祠。』
(・・・・??祠???・・・そんな祠なんて、どこにも・・・・)
そう思っていた時だった。
スウっとガルバの立っている横に、五輪の塔のような石柱が現れる。
「・・・・あ・・・これは・・・・」
『・・・そう。これが祠です。金剛界と胎蔵界を繋ぐ結び目の一つ。』
『先程、明斗殿を放っておくと、厄災になるやもと申しましたが、必ずしも明斗殿が悪いわけではありません。ですが、封じられた呪力が暴走すれば、この街どころか周囲一帯に影響が出る可能性が高いのは事実です。』
(・・・いやいやいやいや!!そんなオレ自身が爆弾みたいな言い方しないでくれよ!!オレ、ただの一般人なんだけど!?)
『しかし、安心して下さい。明斗殿にその力を“封じた者”が悪いのか、“封じられた力”が悪いのか、それとも“明斗殿自身”が悪なのか・・・それを見極めるのが、私の役目なのです。』
(・・・え、何その言い方。すっごい怖いんですけど・・・・)
ガルバは明斗をじっと見つめる。
その瞳は、まるで心の奥底まで覗き込むようだった。
『・・・この祠は、それを診る事が出来る。明斗殿、覚悟はよいですか?
この祠に触れれば、何かが“目覚める”やもしれません。』
(・・・ちょ、ちょっと待て。“目覚める”って何が!?オレの中に何が入ってんだよ!?)
「・・・一つ聞いても良いですか??」
恐る恐る聞いてみる。
「もし、仮に私がその祠に触れて、何かしらの力が暴走してしまったら、どうなるのでしょうか?」
ガルバは、じっとオレを見たまま冷静に言った。
『・・・その時は、明斗殿の存在ごと消します。』
(・・・・・・ですよねぇ~。・・・・そうなりますよねぇ~。アチャラさんよ、
とんでも無い展開になってますよ~涙)
「・・・・・分かりました。その時は、痛くないようにお願いします。」
謎の台詞をガルバに伝え、意を決して祠に触れる。
(・・・・・せ~~~~~のっ・・・・)
————ペタ。
(・・・・・ん?・・・・あ・・・あれ??・・・何も起こら・・・)
———一瞬、安心した時だった。




