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秘伝

皆が下がった事を確認すると、オレはふぅ・・と息を吐き、目を閉じ合掌する。




「・・・南無大師遍照金剛。」




オレの意識はそこで途切れた。




———オレの意識が途切れた後、3人の話によると、オレはただ静かに合掌したまま微動だにせず、ブツブツと何かを呟いていたそうだ。


そして、パンッと手を叩くと懐から五鈷杵を取り出し、オレが修復の際に鳴らしたのとは違う、不思議なリズムで打ち鳴らしていたらしい。


その音色が共鳴して、空間が揺れたと思ったら、手で何かを結び空に放つと同時に、祠が出現した・・・という事だった。




オレの意識が戻った時、何故か3人が片膝をついてオレに頭を垂れていたのは、些か気にはなったが、誰も何も言わないので、敢えてスルーした。




ガルバさんは、お大師様の申し伝えとして、オレに修復した祠に結護法を施せという事だったので、早速結界を張る。




『・・・彼方サイドは、今頃慌てふためいておるじゃろうのぉ。』




『えぇ。そして必ずここに来るでしょう。』




『まぁ、来ても明斗の結界は壊せないだろうけど。何せ、脳筋バサラの渾身の一撃にも耐える位の強度だし。』




『・・・ならば、奴らといらぬ戦闘にならぬように、先に進むのが得策じゃな。』




・・・一同納得。




皆は再びバサラの里へ向かって歩き出す。




ここで、ふと疑問が浮かぶ。




(・・・破壊された結界を修復して、結界を張る・・これを繰り返せば、相手は手を出せないから問題解決なのでは・・・と。)




『・・・明斗、アンタまさかこのまま修復して行けば楽勝じゃない?とか安易な事考えてるんじゃない??』




(・・・・う。図星・・・紫苑さん、まさかエスパーなのでは・・・)




「・・・いや。実際、そうじゃないかな~って思ってました。」




『・・・ったく、これだから脳筋を師匠に持つと弟子まで脳筋になるってのよ・・・』




『・・・明斗殿、事態は簡単ではありません。今修復しているのはあくまで、金剛界側の結び目です。こちらは守護者が結び目・祠を守っている為、まだかなりの数が残っています。ですが・・・』




『・・・壊されている結び目の殆どが胎蔵界側なのよ。所謂、敵陣営の中にあるのさね。これでも楽勝だって言える??ちょっとは飾りの頭を使って考えなさいよね。』




(・・・紫苑さんの、ド直球正論が突き刺さる。)




「・・・・ですよねぇ~。ごもっともです・・・」




『・・・まぁまぁ、紫苑。明斗殿はまだこちらに来て日が浅いのです。それ位に・・・』




『や~だぁ。ガルバ、優しいぃ♡一見、貧弱そうなインテリ眼鏡なのに、男らしいじゃない!』




『・・・ま~た始まったわい・・・明斗よ。しばらく捨て置け。』




「・・・まさか、二人が一緒の時って常にあんな感じなのか?」




バサラは、オレの耳にそっと呟く。


『・・・だから、ワシはお主を紫苑に会わせたくなかったのだ・・・』




(・・・大いに納得。人前でも構わずイチャつくのは発遣ブッ放したくなる・・・)




———そんなこんなで、1日目の行程が終了し、途中にある宿屋に宿泊する事となった。




(・・・・今日は眠れるかな・・・)




明斗の心配を他所に、夜は更けていくのであった。

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