結修
(————ええいっっ!!!!やかましいっ!!!!!!)
バサラの里へ出発する日の早朝。いや。ド深夜。
隣の部屋から聞こえてくる淫猥な声。
(・・・いくら明日・・いや今日から旅に出るからって、今お盛んにならなくても良くない!?)
「・・・あぁ・・うん・・・ゴホゴホ・・・ううぅん!!!」
声がダダ漏れですよー!と精一杯のアピールをしてみる。
(・・・あれ?効果無い?聞こえてない??)
そう思っていると、突然。
『・・・明斗も混ざりたいのかい?なら、こっちに来れば??歓迎するよ?』
『・・・し・・紫苑!・・何言って・・・んぐっ・・』
「・・・あのぉ・・・オレをダシにお楽しみになるのはヤメてもらえます??」
(・・・う・・・うらやましくなんて・・・ないもんっ・・・涙・・・)
「・・・とりあえず、寝ろぉー!!いや、寝かせてくれーー!!!」
——チュンチュン——
旅の準備を終え、4人の守護者が集まる。
内、2人は妙にスッキリしていて、1人は目の下に隈が出来てはいるが・・・
『・・・では、参ろうか。飛びながら行けばすぐじゃが、ワシしか飛べぬから徒歩で行くしかないのぉ。徒歩で2日程じゃな。道中で襲われるやも知れぬ故、くれぐれも用心しながら行こう。』
バサラはそう言うと、歩き出す。
オレもバサラの横に付いて歩く。後衛は、ガルバと紫苑さん。戦闘になったら、バサラが紫苑さんを、オレがガルバと共闘する算段になっている。
(・・・この世界に来て、飛ばされた丘の上からガルバの屋敷までしか歩いてなかったから、景色が新鮮だな・・・)
ガルバが守護する街を抜け、街道に出る。
「・・・あの、遠くの空が歪んで見えるのは?」
オレはガルバに尋ねる。
『・・・あれが、歪みです。結び目の約半数が壊されてしまっている為、この世界が歪んでしまっているのです。』
(・・・なるほどな・・この歪みを何とかしなきゃいけないんだな・・・)
『・・・そして、あの歪みから魔が出てきます。人為的に作られた歪みからも出現しますが。』
「・・・一度、壊されてしまった結び目は修復する事が出来るのですか?」
『・・・それは何とも・・・新たな結び目を作るのか、壊されてしまった結び目を修復するのかさえも分かりません。・・・かつて、空海がどのように結び目を作ったのかは文献にも書かれていないので、正直分からないのです。』
(・・・これは困ったな。例え、敵陣営に勝ったとしても修復する手立てが無ければ元に戻せない・・・)
そんな話をしながら歩みを進める。
街道沿いには、ポツポツと店があり旅人が店先で休んでいる姿を見かける。
『・・・あ。見えてきたわよ。』
紫苑さんがそう言った先に見えたのが、敵陣営に破壊されたのであろう祠の残骸。
「・・・あれ?ここがバサラの管理地です?」
『・・いえ。ここは、私の管理地で以前シュリ—によって破壊された結び目です。』
祠の残骸の周りには、社の跡と思われる残骸も散らばっている。
オレ達は、祠の前に辿り着く。
その時、
———ズキッ———
(・・・って、来ると思ってました。お大師様、どうすれば良いのですか??)
((・・・・汝、我と一体となり我に体を預けよ・・・・))
(・・・はい!?)
((・・・・汝、我と一体となり我に体を預けよ・・・・))
(・・・・え?いや?預けるとは?)
((・・・我、結び目の秘術は後世に伝授しておらぬ。故に、我が汝となりて結び直さん・・))
(・・・分かりました。かなり怖いですが、お預けします。くれぐれも雑に扱わないで下さいね・・)
((・・・・・・・・。))
(・・・そこは、何か言って下さいよ・・・怖いですよ・・・)
『・・・明斗よ。大丈夫か?』
気付くと、紫苑さんの顔が目の前にある。
「・・・・うわっ!!いきなり美女はダメですって!!」
『・・・何を言ってるんだ?このピーマンは?お前が呆けているからだろう?』
「・・・あ。すいません。今、お大師様から話があってて・・・」
『・・・・それで、空海は何と?』
ガルバが前のめりで聞いてくる。
「・・・ちょっと、皆離れていて欲しい。お大師様は、結び目を作る作法を後世に残していないので、オレの体を使ってご自身で作られると仰っています。」
『・・・何と!!そんな事が可能なのですか?明斗殿のお体には問題が無いのですか?』
「・・・お大師様は、今も高野山の奥の院で瞑想されていて、お大師様のご宝号をお唱えすると、いつでも傍に来て下さると言われています。なので、きっと大丈夫です。」
(・・・全く根拠ないけど・・・)
「・・・では、行きます。」




