襲来 肆
———遠くで、青白い光が立ち上るのが見えた。
『・・・あれは、ガルバじゃな。ふむ。大方、屋敷を囲んだ魔を呪力敷陣を用いて殲滅した・・という所か。』
そんな推察をしていると、爆発が起こった祠が近付いてきた。
『・・・・跡形もなく破壊された・・・か。』
祠がかつてあったと思われる場所には、大きなクレーターが出来ていた。
『残りの祠は・・・・』
そうバサラが呟いた時、辺りに声が響いた。
【・・・飛んで火に入る夏の虫・・・もとい、害虫・・・かな?】
すると、同時にバサラは防御姿勢を取る。
((・・・来る!))
【界断掌!!】
———刹那、バサラは『・・・ぬううぅぅん!!』と闘気を体に纏わせる。
————ザンッッッ!!———
バサラのかなり後方に立っていた樹が横一線に切られ、樹が倒れる。
バサラの右頬には横に一筋の傷。そこから血が流れていた。
【あれ?おかしいな。首を狙ったんだけどな・・・】
『・・・なかなか厄介な技であるな。ワシの闘気をも貫通しておる。逸らすのが精一杯じゃ。』
『・・・で、いつまで隠れておるつもりじゃ?ルドラよ。』
【何だ。分かっちゃったか。つまらないなぁ。もう少し遊びたかったのに。】
【・・・じゃあ、今行くね。】
その声と共に、ルドラがバサラの背後に出現した。
————それと同時に。
バサラは裏拳を放つ。
ルドラは全く動く気配が無い。
裏拳がルドラに命中するかと思いきや、バサラの拳はルドラの顔面の1cm前を通過する。
回転した勢いを使って、今度は足を狙っての回転蹴りを放つバサラ。
しかし、この回し蹴りもルドラの足の1cm前を通過する。
『・・・くっ・・また面妖な技を使いおって・・・』
バサラは、大きく後ろに飛びルドラと距離を取った。
【面妖とは失礼じゃないか。久々の再会だと言うのに、挨拶も無しかい?】
『・・・何を今更言っておる。キサマはかつてワシが調伏してやったであろう。忘れたのか?大自在天の加護を持つルドラよ。ワシの調伏により改心したハズなのに、何故またキサマが結び目を壊すような考えを持つに至っておる?』
———そう。コヤツはルドラ。大自在天の加護を持つ守護者。
一見、女子のような華奢な風体で、漢服の上下を纏っている。白い肌に腰まである黒髪。そして耳の上あたりの髪に髪留めを付けている。
『ワシの結界を壊せるだけの力を持つヤツなんて、そうはいないハズじゃから、何となくそんな予感はしたのではあるが・・・・まさか、それが本当になるとはのぉ・・・』
【・・・私は、アナタに調伏され改心はした。しかし、この世の姿を見て悲しみに暮れているアノ方のお姿を見ると、アノ方の救いを体現しなければと思ったんだよ。でも、改心した私の心が私の本能をずっと抑えていた。ところが、やっと最近体現するには破壊しかない。とアノ方から教えて頂いて、心が晴れたんだ。そうしたら、昔のように力が使えるようになった・・・という訳さ。】
『・・・だから、手始めにワシの管轄する祠を破壊した・・と?』
【・・・そうだねぇ。どうせやるなら、ボクを踏みつけコケにしたアナタから。と決めていたんだよ。これで、積年の恨みが晴らせると思うとゾクゾクしてるよ。まずは挨拶代わりに結び目を一つ壊させてもらった・・・という事かな。】
『・・・ほう。もう一度、ワシに調伏されたい。・・・と捉えても良さそうじゃの。』
【・・・昔、アナタに調伏された私ではありません。私はアノ方の教えに賛同し、力を得たのです。調伏されるのはアナタの方です。】
『・・・ならば、試してやろう。』
そう言うと、バサラはふうっと息を吐き、腰を落とす。




