大師
それから1日経った。
また、外でバサラが修行だ!修行だ!と騒いでいる声がするが、ガルバさんが後1日の療養が必要と判断した為、修行はお預けとなった。
その代わり、ベッド上での護身法の訓練?と称する呪力アップ訓練を行っている。
やり方は、超アナログ。ぶっ倒れるまで護身法を維持して、呪力切れまでの時間を計測。
目が覚めたら、また護身法をぶっ倒れるまで維持。時間を計測・・・これを繰り返す。
何と地道な、そして非効率的な手段であろうか・・・でも、この世には呪力を復活させるような便利な道具も、呪文も無い。
———つまり、アナログしか呪力は増やせない。
と言うか、まるで階段をうさぎ跳びで上がっていくかのようなレトロな修行法しか無いのである。
———それは、4回目に倒れた時だった。
((・・・・ズキッ・・・))
(・・・・・・何だか、ずいぶん久々の頭痛だな・・・・)
((・・・・・・・・・・我が真言を唱えよ・・・・・我と一体となれ・・・・))
(・・・はい?・・・何の事を急に言ってらっしゃるのでしょうか??)
((・・・・我の真言を唱えれば、事は解決する・・・・・))
(え?お大師様の真言ですか?騙されたと思ってやってみます。)
((・・・汝の働きに期待する・・・・))
———そこで目が覚める。
目が覚めると、ガルバさんの姿はそこに無かった。きっと、タオルを取り換えに行ったんだろう。
・・・・お大師様の真言か。
「・・・南無大師遍照金剛。」
((・・・・我、常に汝の傍におらん。))
・・・・パアッと体が光った。
「・・・・お?・・・・・おぉ!?」
呪力が完全回復したのが分かった。
「・・・・え!?・・・お大師様の真言って、MP回復的な感じ!?なかなかファンタジーな感じだな。」
そう言いながら、手をグーパーしていると、ガルバさんがタオルを持って戻ってきた。
『・・・・明斗殿、呪力が完全回復してませんか?!』
「・・・・えぇ・・・まぁ・・・良く寝たんで・・・・」
『・・・今まで、8割位しか回復していなかったのに!?・・・そして、何か懐かしい呪力を感じます。・・・・・これは・・・・・』
「・・・お・・お大師様・・・・とか・・・!?」
『・・・・そうそう!そうです。そうです!空海の呪力です。あぁ・・・何て懐かしいんでしょう・・・・』
そう言いながら、うっとりしているガルバさん。そうしていると、急に真顔になる。
『・・・・その空海の呪力が、何で明斗殿から感じるのでしょうか?今まで何も無かったのに・・・まさか、また??』
「・・・えぇ。・・・・まぁ。さっき、ちょっと色々ありまして、お大師様の真言を唱えたら、いきなり体が光って・・・・」
『・・・何と!?』
『だから、明斗殿が完全回復していたのですね。納得しました。』
『ただ、気を付けなければならないのは、いくら呪力が回復するからと言って、むやみやたらに使ってはなりません。その呪力は、空海から分け与えられた物。いくら空海の呪力が強大だと言っても、使い過ぎれば、枯渇するやもしれません。』
「・・・え?・・・・枯渇??・・・な・・・・なるほど。分かりました。ちなみに枯渇しちゃうとどうなってしまうのです?』
『・・・まぁ、あくまでも推測ですが、空海から加護が得られなくなります。恐らく、明斗殿が持っている、独鈷杵や三鈷杵等の武器類も空海の加護があるからこそ使えているのだと思われます。こっちの世界には、そのような武器はありませんから。』
(・・・確かに。密教法具はお大師様が唐から持ち帰ったと言われているもんな・・・)
「・・・今、軽~い感じで使っちゃいましたけど、大丈夫ですかねぇ・・・これで無くなったりとか・・・・」
『・・ああぁ・・だから、呪力がみるみる減って行っているのですね・・・・』
「えぇぇええぇぇ!!!!!マジっすか!?ちょ・・・ヤバいヤバい!!」
真顔で答えるガルバさんに、思わず焦る。
『・・・と言うのは、冗談です。』
「・・・・・・・・・・は!?」
思わず固まるオレ。
「空海の呪力は強大だと言いませんでしたっけ?私が見た中で、あれ程までに強大な呪力を持った人間はいませんでした。どちらかと言えば、我々より神・仏に近い存在です。そんな、明斗殿程度の呪力を補填したからと言って、蚊に噛まれた位でしょう。」
(・・・コイツ、しれーっとオレの事をディスってるのは気のせいか・・・)
「・・・なら良かったです。でも基本的に使わない方が良いですね。蚊に噛まれた程度であっても、なるべく自力で回復させた方が良い。」
『・・・そうですね。慎重に行きましょう。』
(・・・オレの自虐嫌味返しに気付いていない!?さすがだ。さすがだぜ、スルーするなんて・・・)
「・・・はい。」
『・・・よし。では、先ほどの続きから行きましょう!』
(・・・・やっぱり続くのね・・・この修行・・・・・)




