修理
「オンアボキャベイロシャノウ マカボダラマニハンドマジン バラハラバリタヤウン」
青白い光の柱が祠に吸い込まれていく。
そして、辺りが光に包まれる。
『・・・・私、初めて見ました。』
『・・・何と美しい光。これで結び目が無事に修復されました。』
ガルバさんは、感動の面持ちでオレを見つめていた。
「・・・良かったです。これで本当に大丈夫なんですか?」
ガルバさんは、祠へ近づくと手で触ろうとする。
————バチッ!!————
『この結び目は、修復者にしか触れない。つまり、結界が元に戻ったという事です。』
「・・・ほぉ~。凄いですね。もし、昨日みたいな襲撃に遭っても大丈夫ですね!」
『いえ。守護者の力を使えば、結界は吹き飛びます。ただ、壊すのになかなかの時間がかかりますが。』
「・・・いや。壊れるんかいっ!!てっきり、これで何があっても大丈夫!とかじゃ無いんですね。」
『・・・その為に、この部屋に強力な結界を張っているんです。決して入られないように。ただ、全ての結び目がこのような結界に守られているとは限りません。あちらの陣営は、そのような場所から壊して行っている。という事です。』
「・・・昨日も、教えてもらったんですが、その「あちら」の陣営と言うのは?」
『・・・金剛界・胎蔵界という世界があるのはご存知ですか?』
「はい。加行でやりました。今、その間にある世界なんですよね?ここ。」
『・・・そうです。我々、金剛界の仏の守護者と対になる、胎蔵界の守護者。それがあちらの陣営と呼んでいる方々です。』
「・・・?そもそもなのですが、対になる胎蔵界の守護者たちが何故、結び目を壊そうとしているのでしょうか。本来ならば、金剛・胎蔵と同じ世界を表しているはずですよね?」
『・・・本来ならば・・・です。しかし、現在の世界を見れば貧困や争い等、我々が願う世の中とはかけ離れているのは現世に生きていらっしゃる明斗殿ならご存知の事でしょう。ならば、いっその事全て壊してから新しく作り直した方が早いのではないか。というのが、胎蔵界の大日様のお考えで、それに呼応した方々が、我々と対峙していて、各地の結び目を壊しているという状況なのです。』
「なるほど。つまり、金剛界の皆さんは今の状況を残したいという事ですか?」
『はい。人は、世界をより良くする為に努力できると信じているからです。例え、信じる神が違ったとしても、肌の色が違ったとしても、お互いを認めて信じてさえいれば、世の中は・・・人の心は平和になると私達は考えています。』
「・・・・なるほど。オレも、ガルバさん達の考え方に賛成です。ちなみに、結び目が全部壊されてしまった場合はどうなるんです??」
『・・・考えたくない話ですが、天変地異が発生し作物が育たなくなる事はおろか、災害等が頻発し、何れ人類存続の危機になるかもしれません。』
「・・・それで、一回リセットしてから立て直そうとしてる訳ですか・・・こりゃ、ますます止めなきゃいけないですね。胎蔵界の人達を。」
『・・・・はい。明斗殿は不動明王の加護者で、修復師です。何卒ご協力下さい。』
「・・・・分かりました。戦力になるか分かりませんが、オレなりに頑張ってみます。」
(・・・・乗り掛かった舟だ。やるしかない。)
オレは、そう言ってガルバさんにあるお願いをした。
———剣技を教えてくれる人を紹介して欲しい———と。




