三鈷
——————ズキッッ——————
「・・ぐっ・・・こんな大ピンチの時に・・・」
(・・・汝、唱えよ・・・)
「・・・唱えよって、何をだ??だから真言なんて忘れ・・・・」
その時だった、ふと婆ちゃんが家で拝んでいた光景が頭に蘇った。
婆ちゃんの拝んでいる声が聞こえた。
(ノウマクサンマンダ・バザラダンカン)
「ノウマクサンマンダ・バザラダンカン」
・・・・そう呟いた瞬間。
右手に持っていた三鈷杵が光を放った。
手のひらサイズの三鈷杵が光と共に宙に浮く。
「・・・・!?!?!?!?!」
(・・・何だ何だ!?!?!?)
光に包まれた三鈷杵が、スゥッと剣の形に変わる。
剣の柄部分には三鈷杵。刀身はまるで龍が巻き付いたような文様がぐるりと付いていて、赤く光っている。
その剣がゆっくりと、明斗の手に降りてくる。
オレは、その剣を握りしめ、助走を付けて飛んでくる魔に向かって一閃した。
—————ザンッッッッッ!!!————
魔は、まさか剣で切られるとは思っていなかったようで、
・・・ギ・・・・ガ・・・・
と言いながら、二つに分かれていく。そのまま霧のように霧散した。
(・・・勝ったの・・・か?)
「・・・・・はぁぁぁあぁぁ・・・・・。」
オレはその場にへたり込んだ。
「はぁはぁはぁ・・・・」
息が荒い。
その場にへたり込んだオレは、手にある剣を見つめた。
「婆ちゃんの真言、聞いた事あるんだけどな・・・何の真言だったか・・・そしてこの剣・・・」
そんな事を言っていると、その剣は光に包まれ、三鈷杵の形に戻った。
独鈷杵も光が消えて普通の独鈷杵になっている。
・・・とりあえず、助かって良かった・・・
「・・・帰ろう・・街に・・」
そう呟くと、鉛のように重い体を起こし、帰路に就いた。




