第8章:1年生、音葉(おとは)(2)
「音葉って、トランスだよね。しばらく前から気付いてたけど。気にしてるわけじゃないよ。それを受け入れる学校だからね」
自分からトランスって言ったことはないけど、別に言われても気にしない。昔からそうだったから。
でも、気付いたら、あたしの身体、すっかり男の子として成長してしまった。
誰の目からも分かるように。
おしゃれの工夫を尽くしても、男の子っぽさは、消せないレベルになった。
あだ名がいつのまにか「おっさん」になった。
さすがに着替えとかも気を使うようになった。
私の着替えをたまたま目にしたクラスメートが「気持ち悪い」と言いだしたらしい。
「トランスと接したら、普通違和感ってあるじゃん。でもこの学校って、トランス受け入れ方針が強いから、そんな違和感を口にだすことすらできないね」
そんな声が、あたしの耳に入ってきた。
私の方も 学校の先生に相談した。
「遅れてきた 二次性徴。それだけの話でしょう。
入学前だったら、入試不合格にした可能性はあります。
でも入学を認めた以上は、受け入れますよ。
ただし、貴女が、卒業までこの学校でやっていけそうか、改めて考えてもよいかもしれませんね。不安があったらいつでもまたいらっしゃい」
3学期になると、あたしがトランスだというのが、学年中で、公然の事実となった。
それでも、お友達は普通に接してくれる。




