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第8章:1年生、音葉(おとは)(1)

「音葉って、本当に女の子の格好が好きだね」

「私って、本当は女の子なんだと思ってる」

 ちっちゃい頃からそんな会話を周りとしていた。

 小学校の時から、髪の毛も、周りの女の子よりかわいくしようとしてきた。

 アクセサリーとか集めるのも大好きだった。

 洋服も、かわいいものを選んできた。もちろん、女子向けのもの。

 お姉ちゃんや、妹は、あたしほどおしゃれやかわいらしさには、こだわってなかった。部活やスポーツに没頭してたのもあるけど、不思議。

「音葉が、3姉妹の仲で、一番かわいいね」って言われることが多かった。だって、あたしが一番、おしゃれにがんばってるんだもの、当然でしょ、でもうれしかった。

 小学校高学年になったら、ファッション雑誌も定期的に買っていた。小学生向けの雑誌があるのは知ってたけど、あんなのださい。中学生向けの雑誌を買って、すみからすみまで読んだ。紹介されてる洋服は、高額のブランド品ばかりで、滅多に買ってくれなかった。でもあり合わせの洋服で、できるだけがんばった。髪の毛のおしゃれもさんざん研究した。



 中学校の時も、女子の制服で通学した。

 さすがに女子トイレには入らなかったけど、個室トイレばかり使った。

 一度先生から、男子の制服で通学しなさいって、ものすごく強く指導された。しかたなく男子の制服で通学した。でも、髪の毛はおもいっきりおしゃれにした。校則の範囲でのおしゃれなんて、いくらでも考えられる。「服装は男子だけど、中身は女子」、それを演出するように、女の子っぽい行為を意識的にみせつけた。通学鞄も思いっきり可愛くデコった。先生も根負けし、どさくさの中、再び女子の制服を着るようにした。

 趣味があうお友達も何人かいた。女子ばかりだった。

 いつまでも声変わりしなかった。身長も伸びなかった。こんな体質なのねって、みんなから言われた。あたしもそれでよかった。そっちの方が、女子向けの洋服とかが合うから。


 この高校のことを知り、是非入りたいと思った

 入学試験が大変って言われたけれども普通に合格した。

 入学して、何人か親しく喋るお友達もできた。通学鞄をデコするぬいぐるみの好みが同じで、どちらからともなく声を掛け合った。


 数ヶ月たって、お友達から言われた。

「そういえば最近、音葉って、背が伸びたんじゃないの?」

「私も思った。ちょっと見上げるように話しちゃう」

「なんか、声も太くなってない?」

 自分でも多少意識してた。でも、自分に合うおしゃれは、いつも考えていた。

 入学直後の健康診断結果と比較したら、身長は伸びている。それに、歌を歌ったら、以前歌えた高い声がでづらい。


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