第6章:3年生、由美(3)
あたしたちが退学した後、保護者にあっという間に話が広がった。ほとんどの保護者が、一様に、もっぱら結希の方を責めている。
「トランスジェンダーって所詮野獣じゃん。もうトランスの子は入学させないで。今在籍しているトランスの子も、全員あぶりだして」
そんな過激な声すらあがった。学校も、沈静化に苦労したらしい。
自宅にもどったあたしに、母も、結希を責める言葉を繰り返した。品のない単語を露骨に混ぜながら。
「下半身を成長させたのは、その子の方なんでしょ。それに出したんでしょ。そういうのって、責任があるんじゃないの」
「違うの、嫌がるあの子を、あたしが無理やり、元気にしたの」
「頭が嫌がっても、心が嫌がっても、結局一番正直なのは、身体よ」
心と体が一致しないって、そういうことなのね。納得できるようなできないような。
でもあたしだって、心の底でそう思ってたんだろうな。結希も身体は喜んでたんだろうって。改めて、心が痛くなる。
1年後。町中で結希を見つけた。化粧も洋服も髪型も、昔とは雰囲気が違い、フェミニンな雰囲気。話しかけようとしたが、留まった。そこに現れたのは、多分今の彼氏、結希以上に長身で、イケメン。満面の笑みで彼氏にハグする結希を目にして、もはや自分との接点はないと自覚した。あんな笑顔、あたしには見せてくれなかったのに。
それにしても、さっきの結希、胸でか。トランスでも成長するのね。
お幸せに....。




