第5章:受験生、彩夏(1)
「今日は、提携の小学校の、学年間交流イベントの、お手伝いをします。学校ボランティアと試験を兼ねます」
そんな説明を受けて、バスで移動、同行は試験官のお姉さん一人。他の受験生は、どこか別の場所にでもいるのかしら。
「学校としても、地域の盛り上げを考えながら、交流を続けてるの」
学校に到着。先生とも挨拶。先生と、同行のお姉さんから、お手伝い内容の説明。
子どもたちにも挨拶。子ども達への配り物とか、点呼とか。何とか最初の手順をこなせて一安心。ほっと一息、と思っていた。
「彩夏さん、ぼーっとしちゃだめじゃないの?ここではあなた、お客さんじゃないの。小学生から見たら、お姉さんなの。こどもたちと、もっと交わらないと」
そうだった。うっかりしてた。
しかし、あたし、ちっちゃいときは男の子だったから、女子とは話の接点がないかも。
ゲームの話をしてる男の子たちに近づいた。「最近、どんなゲームが流行ってるの?」
熱くなって話してくれるこどもたち。なつかしい。あたしも子どもの頃....まだ男の子だったころ、ママに懸命に、ゲームの中のキャラのストーリーとか、語ってた。
「あたしも、ちっちゃいとき、ゲームばっかりやってたんだ」
「お姉さん、どんなゲームやってた?」
お姉さんって言われた。
「どうくつものがたりって知ってる?」
「知らないな」
「どうくつものがたりって、おれの兄ちゃんが、DSでやったって言ってた」
そのうち女子が話しかけてきた。
「ねえ、このアクセサリ、かわいいでしょ」
「ほんとだ、かわいいね。色もきれいだし、にあってるよ」
「お姉ちゃん、これわかる?」
「ゴメン、お姉さんわからない。教えてくれる?」
「お姉ちゃん、ちっちゃい頃どんなおしゃれおもちゃで遊んだ?」
「ごめんね、お姉さんちっちゃいころ、男の子に混じって、ゲームばっかりやってたの」
笑われた。でも子ども達との会話がなんとか作れてよかった。知らないうちに、あたりまえのように、自分のこと、お姉さんって言ってしまってる。




