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第4章:卒業生、絵理、そして同級生(1)

 3年前、あたしはこの学校に入学した。トランスジェンダー女子を受け入れる、数少ない学校と聞いた。

 もともと女子っぽい髪型が好きだった。休日も洋服のおしゃれをしていた。中学生3年生の時、学校も女子の制服で行くようにした。学校からもお友達からも気持ち悪いって言われたりした。がんばって学校に行った。でも、決定的なできごとがあり....思い出したくもない....もう男子と接するのが、怖くなった。

 1学期の終わりから、教室には入れなくなった。部活にだけは来てって言われた。吹奏楽部で、コンクールも近かったから。先生も配慮して、男子部員があたしに近づかないようにしてくれた。コンクールも終わり、夏休みも終わったら...学校には全く行けなくなった。

 男子は怖い。女子ばかりの高校に行きたい。女子高のパンフを集めた。先生にも面談して、女子校への進学を希望したけど「無理でしょ」って笑われた。

 そんな中、この高校を知った。夢中で受験した。普通に合格できた、と思う。

 中学校卒業前、どうしても1日くらいは教室に戻ってって先生に言われた。一日だけ、教室に入った。先生もクラスの子も気を遣ってくれて、女子のエリアの中に座らせてくれた。でもほとんど誰ともお話ししなかった。隣に座った真理さんと、固い言葉で挨拶しただけ。真理さんもそのあと、お友達と明るく喋ってた。

 卒業式、声を出すのも怖かった。なにも覚えてない。

 そして合格したこの高校に入学した。

 女子ばかり、今度こそお友達とは上手くやりたい。そう思いながら入学、寮にも入った。

 入学式を終えた、最初の日。


 「あたし、トランス女子だから。○○ついてるよ」自己紹介でいきなり問題発言したクラスメートがいた。美弥ちゃん。マイナーなファッション雑誌で、読者モデルをやってるってきいた。長身で、かっこよくて、きれいな顔立ち。笑いに包まれて、みんな受け入れていた。

 トランスって、あたしと同じ環境....思い切ってあたしも公言しようかとも迷ったけど....その勇気は出なかった。「○○絵理です」。


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