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第十七話:覚醒と帰還

 これまで能力を隠し、他者の抑圧に押さえつけられた少女の面影は欠片も残っていなかった。


 自らの足を地につけ、凛と立つ姿から漂う風格、美しい輝きを放つ緑玉(エメラルド)の瞳は見るものを捉えて離さない魅力が溢れていた。


「貴様、我が父母、そして、私を捉え私利私欲に塗れた欲望に利用したことは万死に値する」


「ひっ――!」


 ルークの周りから、空気が消える。

 それは、リオナの絶対的な威圧が、彼自身の生命エネルギーを拒絶しているがためだった。呼吸することができなくなり、ルークは喉を掻きむしり、藻掻き苦しみ、その場に倒れる。


「……簡単に死ねると思わないでね」


 白目をむいて泡を吹いた顔を一瞥し、リオナはあたりを見回した。


「もう二度とこんな悪夢は繰り返させない」


 ガーディアンの強制支配、そんな馬鹿げた実験の痕跡を塵一つ残さない。


 リオナの瞳の輝きが一層強くなり、「轟」という大きな破壊音とともに、施設内の機材が、ルークの残した全ての研究データと共に、原子レベルにまで分解され、塵と化した。


 その圧倒的な力は、カイルとシオンの二重ガイディングによって完全に制御され、無駄なく実行された、真のS級ガーディアンの力だった。


「これで終了ね。――カイル、戻るわよ」


 リオナは、まるで従僕に命令するかのように、倒れ伏したカイルに手を差し伸べる。


 カイルは、命を捧げるほどの極限のガイディングで意識が朦朧としていたが、その女王の声を聞き、反射的にその手を取った。


「……り、リオナ……っ」


 その命が繋がった安堵と、女王の帰還を肌で感じ、カイルの瞳からは、またもや抑えきれない涙が溢れ出した。




「リオナ様の波動が収束しました。施設の崩壊も最小限です。完璧な制御です……」


 シオンは、カイルがリオナの命を繋ぎ、自分がそれを安定させたという結果に、騎士としての最高の栄誉を感じていた。彼は、リオナの**「帰還の波動」を全身で受け止め、静かに膝をつく。


 ローズも通信機越しに、感極まりながらも威厳を保つ。


「……よくやったわ。リオナ・レヴァント。あなたは、真の女王となった」


 女王の帰還である。これより、聖護隊と世界の秩序は、彼女を中心に回ることとなる。

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