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3.小休憩
「ふぅ……」
控室として空けられている詰所の一つに入り、ウィルは小さく息を吐いた。
今ウィルが受けているのは、レザフィル王国で五年に一度行われる近衛騎士の認定試験。
第一試験の内容から察せられるように、近衛騎士に求められる能力は別格だ。
一般人が近衛騎士になることを望むなら、王認の道場で許可を得ることが必須となる。
ウィルもレザフィルの宗主国であるユグラル帝国の道場で四年の修行を積み許可を得た。
その日々はウィルが高名な将軍に才能を見込まれた所為もあるが、地獄という言葉さえ生温いようなものだった。
限界を日々更新しなければ即、死に繋がる訓練の毎日。ギリギリのラインを師匠が完全に見極めているところがまた悪質だった。
同期の人間は最初は百人以上いたというのに、ウィルが許可を貰った日に残っていたのはたったの四人という有様だった。
(……まあ、過去の記憶だし)
強く念じて、ウィルはそれ以上思い出すことを拒絶する。
第二試験は現役の近衛騎士との模擬戦だ。
相手は文字通りの怪物なので勝ち目は無いとされているが、ここで重視されるのは勝敗ではなく戦い方だ。
せめて一矢でも報いようと覚悟を新たにし、ウィルは武器のメンテナンスをする手に力を込めた。




