2.石頭
「――よし、イケる!」
自分を鼓舞するように呟くと、ウィルは身体を傾け周囲から振り下ろされた剣を躱す。
相手は熟練の兵士だ。隙も小さいし、連携もスムーズだ。
――だから、意表を突く。
ウィルは剣兵の一人と距離を詰めると、勢いに任せて頭突きを繰り出した。
ゴィン! という、とても痛そうな音が響く。
しかし昏倒したのは兵士の方だった。
ウィルはそのまま会釈をするような気軽さで数人の剣兵を沈めると、繰り出される槍を掻い潜って槍兵に接近。
数発の手刀と頭突きでまた槍兵を数人仕留めて包囲網の外に出る。
遅れて、兵士たちに動揺が走った。
ウィルの燈髪は確かにフサフサしているが、それがクッション代わりになったと言うには響いた音からして無理がある。
そんなバカな――というざわめきに乗じたウィルは改めて兵士たちに駆け寄り、刃引きされた剣とその鞘を二刀流のように操り攻撃を仕掛けた。
それから数分もしないうちに、最後の兵士が地に伏した。
油断なく周囲を見渡す姿さえどこか小動物めいた印象を与えるが、彼が兵士一小隊を個人で退けたのは純然たる事実である。
「うむ、第一次試験は終了!」
シドの号令にホッと脱力しつつ、一時解散の指示を受けたウィルは控室へ戻った。
第一試験の内容は、近衛騎士を目指す者に要求される最低限のハードルですね。。




