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影の護り手  作者: 27サグマル
10/13

9.先輩

「あれ、君は?」

 部屋の一つから出て来た茶髪の青年がウィルに呼びかける。

「あ、初めまして! 私は本日より隣の部屋でお世話になります、ウィリオス・レセアージェンと申します」

「ご丁寧にどうも。ボクはオルパ・ケイディオ。一応君の先輩にあたる、かな。宜しく」

「宜しくお願いします。では、今日はこれで失礼しますね」

「うん、また明日~」


 その翌朝。

「おはようございます」

「ぅわ!?」

 オルパが驚いたのは、ドアを開けた瞬間ウィルが目の前に立っていたからだ。

 もしこれがウィルでなく刺客だったら、オルパはこの瞬間死んでいてもおかしくない。それで良いのか近衛騎士。

「君は確かウィリオス君だっけ。……どうしたんだい?」

「私は重度の方向音痴でして……食堂までご一緒したく」

「なるほどね。ああ、ウィリオス君もそんなに硬くならなくて良いよ」

「ありがとうございます。あと、僕のことはウィルで結構です」

「了解。改めて宜しく、ウィル君」


 ウィルが忙しく朝食を平らげていると、不意に連絡用の水晶が振動した。

「どうしたんだい?」

「えっと……叙勲式が、一日遅れるみたいです」

「ああ、そうか」

 ウィルの言葉に、オルパは何か心当たりがあるように頷く。

「それにしても……僕は、何をしていれば良いんでしょう?」

「無いんだな、それが」

「えっ?」


「ゴメン、流石に盛り過ぎた。城の巡回くらいは割り振られてる」

「その……他には?」

「交代で『西』に行ったり、護衛として式典に出たりするけど……この時期は新人の訓練が全部だね。まあこの辺りは平和だし、ぶっちゃけ暇だよ?」

「そう、なんですか……」

 恐る恐るといったウィルの質問に、オルパはふにゃっとした笑みを浮かべて答える。

「ちなみにボクは空き時間は適当に訓練して、それ以外は街に出て食べ歩きしてるよ。他の近衛騎士は……まあ各自訓練してるのは同じだけど、書庫に籠ってひたすら本を読んでるのとか、詰所に押しかけて兵士とギャンブルしてるのとか、かな。事務所にちょっとした依頼が来てることもあるから、気が向いたら行く場合もあるね」

「なるほど……」

「あ、そういえば今日はボク巡回があるんだよね。これも何かの縁だし、ついて来る?」

「は、はい! お願いします!」

 こうしてウィルは巡回ついでに城を案内してもらったのだった。

 手描きの地図にオルパが絶句していたのは余談である。



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