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69話 ほら、行くぞ!

直哉はざくざくとバージンロードを踏み荒らし、呆然と佇む舞香の手首を迷いなく掴んだ。


「ほら、行くぞ!」


「えっ、あっ、待ってくださいまし! ヒールだからこんなに走れませんわ……!」


「ああ? そうか! なら、これならどうだ!」


直哉は背中へ即座に長槍を戻すと、躊躇うことなく舞香の腰と膝裏に腕を滑らせ、一気に抱え上げた。豪快なお姫様抱っこ。


「きゃっ……!? ちょ、葛西さん! 顔が近いですの……っ!」


「暴れるな、舌噛むぞ!」


文句を言いながらも、舞香は直哉の胸元をぎゅっと掴んだ。

(……本当に、来てくださったんですのね……)


真っ赤になって取り乱す舞香を腕の中にしっかりと固定し、直哉は堂々と大股で歩き出す。


その破天荒すぎる光景に、置き去りにされた新郎が呆れ顔で成彦へ視線を向けた。


「成彦君……? 僕は彼女も同意の上での挙式だと聞いていたんだがね。これはいったいどういうことだい?」


「それは……ッ! そうです、あの男が勝手に乱入してきただけで……! 少々お待ちください、すぐに排除させますから!」


慌てて取り繕う成彦をよそに、直哉は教会の出口で待機していた章の元へと辿り着いていた。


「西条! 連れ戻してきたぞ!」


「お、おう……(なんでお姫様抱っこなんだよ……?)」


思わず呆気にとられる章だったが、すぐに表情を引き締めて周囲を見渡した。


「よし、ならこのまま撤退するか?」


「そうだな!……と言いたいところだが、どうやら素直に逃がしてはくれなさそうだぞ」


壊れた扉の先、そして教会の敷地内を取り囲むように、王城家が雇った私設の武装警備兵たちが次々と姿を現す。手には魔法銃や真剣が握られていた。


「君たち……よくも僕の計画を邪魔してくれたね」


背後から、怒りで顔を酷く歪めた成彦が足音を荒立てて歩み寄ってくる。


「いいだろう……身の程を知らない君たちには。ここでたっぷりと痛い目を見てもらうとしようか!」



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