↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/167

66話 一回だけでいいから、会わせろ

「だから! 一回だけでいいから、王城と直接話をさせろって言ってるだろ!」


「ダメだ。当主および成彦様のご指示がない限り、部外者をお通しすることはできません」


王城家の重々しい大門の前で、直哉が門番の男たちに必死に喰ってかかっていた。


「こうなったら……力ずくで押し通る!!」


「待て、やめろ葛西!」


「西条! 止めてくれるな! あいつが泣きそうな顔で手紙書いてたかもしれないと思うと、黙ってられるかよ!」


直哉が槍の柄に手をかけ、強行突破を図ろうとしたその時、邸宅の中から静かで高圧的な声が響いた。


「やめたまえ」


「……?」


門が開き、洗練されたスーツを身に纏った成彦がゆっくりと姿を現した。


その目は見下すような冷たさを孕んでいる。


「君たちは確か、愚妹のクラスメイトだね」


「おう……そうだ! だから王城に会わせろ!」


「今、妹は少し立て込んでいてね。大事な今後の話をしている最中なんだ。……そうだな、1週間後なら会わせてあげるよ?」


「……本当に、王城は無事なんだな?」


「もちろん。家族で今後について話しているだけさ、僕は嘘をつかないよ」


「……わかった。そこまで言うなら1週間待つ」


直哉が強張らせていた肩の力を少し抜いた、その時だった。


「兄さん! 忘れ物です!」


息を切らせた忍が、俺のポーチを持って走り寄ってきた。


「おや……? 忍も来ていたのかい?」


成彦の視線が忍に向けられた瞬間、忍は悲鳴を殺すように小さく身を竦ませ、俺の背後へと隠れた。


「っ……あっ、王城さん……。どうして、ここに……?」


「ハハ、僕の家だからだよ? ……そうだ、せっかくだから君だけでも今から家に寄っていかないかい? 美味しい紅茶でもご馳走するよ」


「い、いや……です! 兄さん、早く帰りましょう……! 」


忍は俺のシャツの裾を強く握り締め、半泣きになりながら縋りついてきた。


「……妹が嫌がってる。今日はこれで失礼する」


「ああ、残念だな。……まあいい、君(忍)は後で貰うとするとしよう」


「……?」


不気味な笑みを残して屋敷へと戻っていく成彦。


俺は彼の最後の言葉に引っかかりを覚えつつも、怯える忍の肩を抱いて王城家を後にした。


(ふふ……『後で貰う』、ですか。随分と役に入り込んでくれていますね? おかげで兄さんも、すっかり貴方を警戒してくれています♪)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。