55話 今夜は夏祭り
【夏休みの海:夕暮れ時】
「陽向!」
パラソルの陰から、白衣の裾をなびかせた静香先生が歩み寄ってきた。
「あっ、先生〜!」
「探したのよ? どこに行ったのかと思ったら、こんなところで油を売っていたのね」
「えへへ〜、ごめんなさい……」
静香先生は呆れたように小さく溜息をつくと、俺たちに視線を向けた。
「あら? 貴方たちも一緒だったの」
「先生も、来てたんですか?」
「ええ。ここ、私の地元なのよ?それと、陽向の面倒を見てくれていたの?」
「いえ? そんな、面倒だなんて……」
恐縮する俺を横目に、静香先生は何かを思いついたように手をぽんと叩いた。
「ふふ、そうだわ。今日の夜、ここら辺の神社で夏祭りがあるのよ。みんなも行かないかしら?」
「行きますわ!!」
真っ先に食いついたのは舞香だった。金色のビキニ姿で目を輝かせている。
「俺も行くぜ! 祭りの屋台飯、片っ端から食い倒してやる!」
「えーと、俺は……」
人混みとダンジョン攻略の遅れを考えて少し躊躇していると、横から忍がそっと袖を引いてきた。
「兄さん? 行きましょうか……? 兄さんと一緒にお祭り、行きたいです」
「……分かった。先生、俺たちもお願いします」
「ええ、決まりね。女の子たちには、私が昔着ていた浴衣を貸してあげるわ」
「本当ですか!? ありがとうございますわ!」
「やった〜! 浴衣だ〜!」
「……先生、私には?」
静香先生は、いつもの優しい眼差しで陽向先輩の頭を撫でた。
「ええ、もちろん陽向の分もあるわよ」
「ふふ……! ありがとう〜先生!」




