49話 なんでお前が履いてるんだよ!?
カンカンと照りつける夏の太陽。
波打ち際から押し寄せる熱風と潮の香りに、俺は眩しそうに目を細めた。
「暑い……。どうして俺は今、ここにいるんだ……? 今頃なら涼しいダンジョンの地下階層で、ガンガン魔物を倒してレベル上げしているはずなのに……」
サーフパンツのポケットに手を突っ込み、俺が一人で虚空を見つめて呟いていると、横から聞き覚えのある豪快な声が飛んできた。
「おい! 西条?」
「どうした? かさ……」
振り返った瞬間、俺の思考が完全にフリーズした。
「……どうした?」
「いや……なんでもない(……なんでこいつ、堂々とブーメランパンツなんて履いてんだよ!?)」
視線の先には、褐色の肌と鍛え上げられた筋肉を隠すことなく全開にし、ド派手なブーメランパンツ一丁でニカッと笑う直哉の姿があった。
あまりの破壊力に言葉を失っていると、浜辺の奥から華やかな声が響いた。
「西条さんに葛西さん! お待たせしましたわ!」
パッと花が咲いたような眩しさに目を向けると、そこには光り輝く金色のビキニに、風になびくシアーなパレオを纏った舞香が立っていた。
ツインテールを揺らし、少し誇らしげに胸を張っている。
「おう!」
「早く海に入って遊びに行こうぜ!」
「ちょっと待ってくださいまし!? 何か……感想はありませんこと!?」
待ちきれない様子で駆け出そうとする直哉を引き留め、舞香が頬を少し赤くしながら不満げに抗議した。
「……? 王城?」
「葛西さん、何かしら!?」
舞香がフンッとそっぽを向くと、直哉は親指をグッと立てて、満面の笑みを向けた。
「似合ってるぞ! ニカッ!」
「ッッッ……! ふ、ふん! 貴方も……その、ブーメランパンツ、案外似合っていますことよ……!?」
直哉のストレートすぎる褒め言葉に顔を真っ赤にし、照れ隠しに明後日の方向を向く舞香。
(……待て、あいつら本当にあの格好で会話成立してんのか……?)
俺は一人、絶妙なツッコミどころの多さに頭を抱えるしかなかった。




