48話 兄さんの水着は私が選びます!
「兄さん! これ、どうでしょう……?」
試着室のカーテンがシャッと開き、忍が少し照れくさそうに姿を現した。
薄いピンク色のミディアムヘアに、白地に黒のフリルをあしらったビキニ。
その上から、ダボッとした白いシャツを羽織っている。
「う〜ん、すごくいいと思うぞ?」
「……子供っぽいですかね?」
「そうか? めちゃくちゃ似合ってるけどな」
「……! よし! この水着にしましょう!」
俺の言葉に一瞬で表情を輝かせ、忍は嬉しそうに胸を張った。だが、ふと俺の手元を見て首をかしげる。
「……? 兄さんは?」
「俺? 俺は別に泳がないし、私服のままでいいかなって」
「だ! め! で! す!」
忍は膨れっ面で俺の眼前に詰め寄ってきた。
「おっ、おう……」
「兄さんに合う水着は、私が選びますからね!」
「わ、分かった。頼んだよ」
鼻息荒くメンズコーナーへ向かった忍は、迷うことなく水着を手に取り、どや顔で戻ってきた。
「これです!」
「おい、忍……それは……」
「? ブーメランパンツですよ? 兄さんのスタイルなら絶対に似合います!」
「普通のにしてくれ!!」
俺の切実な拒絶に、忍は一瞬ポカンとしたものの、ハッと目を見開いた。
「……? はっ! いけません……! こんなものを履かせたら、ビーチの害虫(女たち)に兄さんの魅力が気づかれてしまいます……! 面倒なことになりますね……。まっ、そんな生意気な人がいたら、影で軽く……」
(ん……? 今、何か恐ろしいこと言わなかったか……?)
「忍……?」
「はい! 兄さん、今すぐごく普通のサーフパンツを選んできますね!?」
忍は冷や汗をかきながら、超スピードで普通のメンズ水着を選び直しに向かったのだった。




