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45話 ずーっと一緒にいようね?


「後輩く〜ん」


廊下を歩いていると、曲がり角からひょっこりと顔を出した陽向先輩に呼び止められた。


「……? 先輩?」


「こっちこっち〜」


「?」


首をかしげながら近づいた瞬間、ぬくもりに包まれた。


「はい、ぎゅ〜っ」


「っ……! チョ、先輩、離してください!」


「だ〜め。私が目を離すとすぐに怪我するんだから。だからね? ずーっと一緒にいようね……?」


陽向先輩は俺の胴体を締め上げるように抱きしめて離さない。


笑っているはずなのに、なぜかその腕だけは少しも緩まなかった。


「あの……これから授業ですから!」


「そんなのほっておいていいよ〜?」


「だめに決まってるでしょう!」


押し問答を繰り広げていると、後ろから足音が近づいてきた。


「陽向? 何してるの?」


白衣のポケットに手を突っ込み、気怠げな眼差しを向けた静香先生だった。


「あっ、先生〜」


「授業始まるわよ、教室に戻るわよ?」


「は〜い……」


陽向先輩は名残惜しそうに腕の力を緩めた。


……その瞬間、彼女の瞳が一瞬だけ揺らぎ、眉をひそめて小さく漏らした。



「うっ……う……」


「陽向?」


「せん……しぇい?」


「……は〜い、いきます〜」


先生に促され、陽向先輩はどこかふらつく足取りで歩き出す。


去り際に見せた一瞬の怯えと困惑の表情。


「……何だったんだ、一体」


俺は自分の身体に残った妙に重い抱擁の感覚を振り払うように、不気味な違和感を拭いきれずに立ち尽くしていた。


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