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30話 兄さんを守ってくれたお姉さん


ダンジョンの出口を出ると、校舎の陰からポンと飛び出してきた忍が、一目散に俺へと駆け寄ってきた。


「兄さん! 無事でしたか!?」


「忍……ああ、無事だぞ?」


「良かったです……! 本当に、怪我一つなくて……!」


俺の無事を確認して胸を撫で下ろす忍。


だが、俺の後ろに立つ直哉に視線を向けた瞬間、彼女の瞳からあからさまに温度が消えた。


「……葛西さんも、無事みたいですね」


「なんでそんなに露骨にガッカリしてんだよお前は!? 俺と西条のコンビなら無敵だっつの!」


「そうですね! 『兄さんは』無敵です!」


「俺は無視かよ!……なぁ西条、お前の妹、ちょっと偏愛が酷すぎないか?」


「?」


「『?」じゃねぇよ! お前のこと好きすぎるだろ!」


「……可愛いだろ?」


「はいっ! ありがとうございます、兄さん!」


俺が至極当然のように褒めると、忍はパァッと表情を明るくして俺の腕に抱きついてきた。


「まあ……そうだけどな。悔しいがマジで可愛いよ。俺もこんな可愛い妹が欲しかったわ……」


直哉が羨ましそうに溜息をついた、その時だった。


「あのーっ! 私のことをお忘れではありませんこと!?」


直哉の上着を不格好に羽織った舞香が、不満げにぷんぷんと胸を張って割り込んできた。


「?」


「そうだな、王城も無事だったな」


「『無事』だけじゃありませんわ! 妹さん! 私がボスをスパッと魔法で倒しましたのよ! あなたのお兄様をお守りしましたわ!」


ふふん!と誇らしげに自慢する舞香。


(……あれだけ深く刺されていたのに。なんでピンピン生きて帰ってきてるのかな……)


「妹さん……?」


「お姉さん! すごいです! 私、兄さんを守ってくれたお姉さんのこと、とっても尊敬しちゃいます!」


「あら! あらあらっ! 分かればよろしいのですわ! もっと褒めてくれても構いませんわよ!」


忍の甘い言葉にコロッと騙され、分かりやすく調子に乗る舞香。


舞香の無邪気な笑顔を見つめながら、忍は俺の袖をギュッと握り締めた。



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