おまけ:地下牢の神とぶっきらぼうな男
薄暗い石造りのアジト。
男は腰のホルスターを確かめると、壁際に腰掛ける女へぶっきらぼうに顎をしゃくった。
"Hey! We've got work to do! Come on, pucker up!"
(「おい! 仕事だ! ほら、唇出せ!」)
"Are you some kind of pervert?"
(「変態かしら?」)
"Haaah..."
(「はぁ……」)
深いため息をつく男に、女はくすりと艶やかに喉を鳴らす。
"Just kidding. To grant supreme power to a man as merciful as you... hehe, quite ironic, isn't it?"
(「嘘ですよ? 貴方のように慈悲深いお方に最高の力を授けるだなんて……ふふ、おかしな話ですね」)
"Not really. You've saved my ass more than once."
(「いや? 助かってるぜ」)
"Is that so? Still, I wonder what made you bother rescuing me when I was chained in that dungeon. Was it for my body? Truly repulsive."
(「そうですか……それにしても、あの地下牢に繋がれていた私を、よくまあ助ける気になりましたね? 身体目当てでしょうか? おぞましいことです」)
"Don't be an idiot. As if I'd ever get turned on by a walking skeleton."
(「バカ言え。あんなガリガリの女に欲情するかよ」)
女は目を細め、ふわりと立ち上がって男の胸元へと歩み寄る。
"My, my... and what about now?"
(「まあ……なら、今は?」)
冷たい指先が男の胸板に触れ、上目遣いに紫の瞳が妖しく光る。
男はわずかに視線を逸らし、咳払いをひとつ落とした。
"......Let's go."
(「……行くぞ」)
"You dodged the question, didn't you? Right in front of a God."
(「誤魔化しましたね? 神を前にして」)
"Like I care."
(「知らん」)
"Honestly, you are hopeless."
(「全く、呆れた人」)
呆れたように肩をすくめながらも、女は満足げに男の首へ腕を回し、その唇をそっと奪うのだった。




