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117話 先輩、再び居候になる

校門の前で待っていると、ポケットの中でスマホが震えた。


「うん? 忍からメールか……」


画面を開くと、『少し用事ができてしまったので、お先に帰っていてください。ごめんなさい!』という短いメッセージが届いていた。


「そうか、仕方ないな……。まぁ、GPSも正常に動いてるし大丈夫か」


位置情報が校内にあることを確認し、俺は一人で家路についた。


帰宅後、リビングのこたつに入りながらも、時計の針ばかりが気になって落ち着かない。


前回の事件のこともあり、忍が帰ってくるまで無意識にそわそわと玄関の方を気にしていた。


その時——


ピンポーン


「忍!」


待ちきれずに玄関へ駆け寄り、勢いよく扉を開けた。その瞬間、柔らかく甘い香りの塊が真正面から突撃してきた。


「後輩く〜〜〜ん!!」


「うわっ!? ……せ、先輩!?」


「えへへ〜! 会いたかったよ〜〜!」


胸にぎゅっと抱きついてくる陽向先輩の頭越しに、その後ろで申し訳なさそうに手を合わせる忍の姿が見えた。


「すみません、兄さん。校門を出る直前に静香先生に捕まってしまいまして……。先生がまた急な長期出張に出るらしく、その間だけ先輩を預かってほしいと頼まれてしまったんです」


「うん! 後輩くん、またしばらくよろしくね〜?」


「お、おう……。忍、本当にいいのか? また家が狭くなるし、色々大変だろ」


「はい、私は別に構いませんよ? 先輩なら大歓迎です」


いつもなら他の女性が近づくだけで不機嫌になるはずの忍が、なぜか余裕たっぷりの笑みを浮かべて頷いた。


「……そうか、ならいいけど」


胸の中で幸せそうにすり寄ってくる陽向先輩の頭をなだめながら、俺は忍のどこか企むような瞳の奥に、得体の知れない胸騒ぎを覚えるのだった。



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