112話 試験の結果
ダンジョンのエントランス広場。
息を整える俺たちの前に、出席簿を脇に挟んだ担任が呑気な足取りでやってきた。
「おう、お疲れさん。全員無事に戻って集まってるようだな?」
その気の抜けた声に対し、クラス全員から突き刺さるような冷たい視線が一斉に向けられた。
(ジトーーーー……)
「……? どうしたんだお前ら、そんな親の仇を見るような目で」
「先生! なぜ最初から教えてくれなかったんですか!?」
委員長を筆頭に、生徒たちが一歩前へ詰め寄る。
「あ? なにがだ?」
「1位から3位までの報酬に**『モンスター討伐任務』**が漏れなくついてくる件ですわよ!!」
舞香が怒髪天を衝く勢いで詰め寄ると、担任はポリポリと頬を掻いた。
「うん? ……言ってなかったか?」
「「「はい! 聞いてません!!」」」
広場が揺れんばかりのハモり、担任は「あ、そう」とばかりに肩をすくめた。
「そうか。……ま、終わったもんは仕方ねぇ。それでな? お前たちの最終順位だが……」
広場が一瞬で静まり返る。全員が息を呑み、固唾を飲んで担任の口元を凝視した。
(ゴクリ……)
「——第4位だ。よくやったな?」
一拍の静寂の後、大爆発のような大歓声が巻き起こった。
「「「よっしゃあああああーーーッッ!!!」」」
「やりましたわーーーッ! 完璧ですわーーっ!!」
「最高じゃん! 純粋な国内リゾート旅行ゲットだぜ!!」
「わ〜〜い! 補習もモンスターも回避できたー!」
抱き合って飛び跳ね、まるで総合優勝でも果たしたかのように狂喜乱舞する生徒たち。
その異様な光景に、担任は眉をひそめて不思議そうに首を傾げた。
「……なぁ、お前ら。昨日まではぶっちぎりの1位だったんだぞ? 普通は悔しがるところだろ」
「裏の討伐任務がなかったら、手放しで喜んでましたよ!!」
クラス全員からの鋭いツッコミを受け、担任は居心地悪そうに視線を泳がせた。
「……そ、そうか。なんか……悪かったな」
珍しくバツの悪そうな顔をする担任を前に、俺と葛西は顔を見合わせてようやく肩の荷を下ろすのだった。




