109話 目指すは四位!?
教室の扉をバーンと勢いよく開け放ち、葛西が喉も裂けんばかりの大声を張り上げた。
「みんな、聞いてくれッ!!」
突如の乱入にざわつくクラスメイトたちへ、葛西は保健室で静香先生から聞いた『1位〜3位は討伐任務付きの地獄』という真実を一気にまくしたてた。
「——つまりだ! 純粋にバカンスを楽しみたいなら、俺たちは全力で4位を目指さなきゃいけないんだよ!!」
「「「ええええええええっっっ!?」」」
教室中に悲鳴が木霊する。
「ど、どうしよう!! 昨日、ちょうど4位だったのに!!」
「今日のこの1位、一体誰のせいなのよ!? 私もそこそこ倒したけど、こんなに跳ね上がるはずないわ!」
「確か……王城さんよ! あの規格外の超火力でボスも中層の魔物も焼き尽くしてたじゃない!」
「えっ……わ、わたくし……?」
クラス中の非難と絶望の視線が一斉に突き刺さり、舞香は顔を青ざめさせた。
「わ、わたくしが……戦犯……? 一番やらかしてしまいましたわーーーッ!! ガーン!」
頭を抱えて石化する舞香の横で、男子生徒たちが頭を抱えて喚き散らす。
「マジかよ……! 1位なんて取ったら海外のモンスターに殺されるぞ!!」
「やだー! 平和に国内旅行行きたいー!」
阿鼻叫喚の地獄絵図と化した教室の真ん中で、委員長がポンポンと優しく手を叩いた。
「みんなー! 仲間同士で喧嘩しちゃダメだよ? ……ね? 過ぎちゃったことは仕方ないし、明日の立ち回りは明日考えよう! 明日が試験の最終日なんだから!」
「……う、うん。そうだね……」
委員長の天使のような笑顔に少しだけ落ち着きを取り戻した生徒たちだったが、その視線は再び鋭く舞香へと向けられた。
「……王城、お前明日、一歩も動くなよ?」
「王城さん? 明日はダンジョンの入り口で寝てていいからね?」
「そんな……っ! そんな殺生なーーですわぁぁぁっ!!」
涙目で両手を伸ばして懇願する舞香の姿を、俺は教室の隅から眺めながら小さく息を吐いた。
「……大変だな、王城」
先ほどまでの得意満面なお嬢様から一転、クラスの『要注意・居るだけで危険人物』として扱われる舞香を見つめ、俺は同情を禁じ得なかった。




