103話 委員長、指揮官の才能
ダンジョン深部へ続く大空洞。
暗がりの中、怒号と魔力の閃光が絶え間なく交錯していた。
「うぉぉぉーッ! 死ねぇぇぇッ!」
「魔石! 魔石を回収しろ! 1個も残すな!」
異様なテンションで武器を振るうクラスメイトたちの中央で、委員長は冷静に戦況を見極め、凛とした声を張り上げていた。
「〇〇ちゃん、右の前衛の回復急いで! ▲▲くん、体勢崩れたから今すぐ突撃!」
「くらえっ! 風魔法——『ウィンドカッター』!」
放たれた真空の刃が唸りを上げ、飛びかかってきたコボルトの首を一閃して切り落とす。
「うん! ナイスキル!」
「回復魔法、いきます!」
青白い光が傷口を包み込み、出血が瞬く間に塞がっていく。
事前に俺がまとめた能力リストが頭に入っているのだろう。委員長はクラスメイトそれぞれの長所と弱点を完璧に把握し、無駄のないローテーションを組んでいた。
(……すごい采配だな)
俺と葛西が最低限の援護に徹する中、クラス全体がひとつの生き物のように機能していく。
「次! 第2陣、攻撃準備して! 第1陣が後ろに引いたあと……今っ!!」
「グオォォッ!?」
「うおおおおッ! 一気に叩き込めぇぇぇッ!」
統率された一斉攻撃が炸裂し、押し寄せていた魔物の群れが次々と霧散して大量の魔石へと変わっていった。
——数十分後。
洞窟内の魔物が一掃され、静寂と荒い息遣いだけが残された。
「ふぅ……ふぅ……やったぜ! 魔石、めちゃくちゃ大量だな!」
「すげーなお前、あんな重い一撃出せるなんて見直したぞ!」
「へへっ、お前こそ回復のタイミング完璧だったぜ!」
互いの健闘を称え合い、ハイタッチを交わすクラスメイトたち。そこへ、委員長がパチパチと手を叩きながら明るい声を響かせた。
「はいはーい! みんなお疲れ様! 一旦しっかり休憩を取ったあと、さらに奥のエリアへ再度挑戦するよー!」
「「「おーーーっ!!」」」
士気は最高潮。
誰もが豪華旅行への希望を膨らませる中、俺は涼しい顔で微笑む委員長の横顔を盗み見ながら、どこか底知れないものを感じていた。




