102話 特別試験開始直前! ……舞香、もう調子に乗る
ダンジョン前・特別試験開始直前】
特別試験当日。
指定された本ダンジョンの転移門前には、全クラスの生徒たちが集結し、異様な熱気に包まれていた。
「1位! 絶対1位取って海外旅行行くぞーーッ!」
「補習回避! 補習回避ぃぃッ!! 死んでも最下位だけは免れるんだ!」
「おい、みんなちゃんと回復薬持ったか!? 予備も含めて満杯にしとけよ!」
あちこちから飛び交う怒号と悲鳴に近い気合。
俺は横に立つ葛西を見やりながら、思わず苦笑いをこぼした。
「やばいな、この熱気……。なぁ、葛西?」
「ん? どうした、西条?」
「今回は、積極的に前へ出て戦わないようにしよう。……分かるか?」
「ああ! わかるぜ?」
「なら、よか——」
「他の連中の見せ場を奪っちまったら、悪いからな!」
「違うぞ! 葛西!!」
満面の笑みで親指を立てる葛西に、俺は思わず額を押さえてツッコミを入れた。
「?」
「必要以上に俺たちだけでスコアを稼ぐ必要はない。できるだけ手の内を隠して、省エネで上位を狙うのがベストだ」
「そうか? まぁ、西条がそう言うなら合わせるけどよ」
「ああ。だから、王城にもその方針を伝えて——」
俺が言いかけたその時、少し離れた場所から黄色い歓声が上がった。
「王城さーん! 私たち王城さんの火炎魔法、超頼りにしてますからね!」
「そうですのね? ふふ、ふふふ……この王城舞香にすべてお任せあれ〜〜っ! 派手に焼き尽くして見せますわ!」
取り巻きの生徒たちにおだてられ、胸を張って高笑いを上げる舞香の姿がそこにあった。
「……あれはダメだな」
「せっかく最近ちょっと見直したのにな……」
俺と葛西は顔を見合わせ、深いため息を揃えて吐き出すのだった。




