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魔将軍のご主人様になりました  作者: 浦 かすみ


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魔将軍とお城へ1

たくさんのお気に入り登録ありがとうございます。




 ギルドでヴェル君は質問攻めにあっていました。皆様が噂していた魔将軍は、どうやら別人のようだと冒険者のお兄様達も納得してくれたようです。


 お国の内情のような詳しい話は出来ませんが、ヴェル君が何故ここにいるかを掻い摘んで皆様に説明し終わった後、冒険者のお兄様達に熱く抱擁されておりました。そして皆様に頭をガシガシ撫でられていました。


「お前美丈夫過ぎるから苦労するんだよぅ~辛かったなぁ」


「女は怖いからなぁ~良く逃げられたなっ」


「怖えぇ王女だな、そんなんだから男に逃げられるんだよな~」


 暑苦しかった……ギルドを後にしようとした時に支部長、ロージ様のお父様がヴェル君を呼び止めました。


「先ほどお聞きしたいのですが。何故、私がロージの父親だと分かったのですか?」


 ヴェル君はそれは美しい微笑みを浮かべて、こう答えました。


「もちろん骨格体型が似ていることもあるけれど、魔力波形がよく似た形だから。それに支部長も昔は騎士だったのでは?歩く時に剣を下げて歩く癖が出ていた」


 支部長は優しく大きく頷いています。


「参りました」


 そして、軽やかに騎士の礼をされました!イケオジ!


「城に行かれるのでしたらロージに宜しくお伝えくださいませ」


「今日、ロージが稽古をつけて欲しいそうなので、絞ってきます」


 ヴェル君は破顔しました。ロージ様のお父様もいい笑顔で手を振って見送ってくれました。


「でさ、カデちゃん、お昼どこで食べる?」


 楽しそうに聞かれてハッとした私は慌てて色々考えました。そうだ!


「お昼はお魚料理にしましょう」


 お昼はお魚料理、フィッシュ&チップスを頂きました。美味でした。転移箱が完成したら新鮮なお魚を手に入れたいのですよ~とヴェル君に説明すると大絶賛してくれました。


 さて、お昼過ぎに私達は城門前に着きました。私は王太子殿下が発行してくれた通行証を、門番の方に見せました。ヴェル君もどうやら、同じく王太子殿下印の通行証のようです。


 中に入り、まずは時間のかからなさそうな用事からすませることにしました。


 城内の中心部を外れ、城下側の棟の一階へ向かいます。裏庭から木戸を数回ノックしました。


「は~い!あ、カデリーナさんこんにちは!」


 鼻の頭にそばかすを浮かべたミューリー君がヒョコッと顔を覗かせました。


「こんにちはミューリー君、料理長いらっしゃいますか?」


 ちょっとまってくださいね~と言いながらミューリーくんは奥へ引っ込んで行きました。


 そして、丸っこくて人の良さそうな料理長がお腹を揺すって裏庭へ出てきました。


「おお、カデリーナさん、シエラさんから聞いてるよ~とうとうレイゾウハコ出来そうなんだって?」


「はい、それで料理長のお時間ある時に一度、商会にお越し頂いて起動している魔道具を確認して頂きたいのです」


「はいは~い、分かったよ~」


 料理長と日程を決めてメモると、レイゾウハコの機能を少し説明して次へ移動します。


 忙しい!


「次はメイドの控室に行きたいと思います」


「そんな所へ入れるの?」


「はい、私がユタカンテ商会の者だという事は結構周知されているのですよ?」


 そして、メイドの詰所に行く前に庭先で立ち話しているアネロゼを、運よく見つけることが出来ました。


「アネロゼ、良かった。会いに行こうと思っていたのです」


「まぁ~カデリーナ姫様っ!きゃあヴェルヘイム様だわ!こんにちは!」


 明らかにアネロゼの声が一オクターブ高くなりましたよ。周りにいる若いメイド達からもソワソワした気配を感じます。


「先日お渡しした『リップグロ』の使い心地、如何かな~と思って」


 アネロゼはメイド服の隠しポケット(私が作り方を教えた)からリップグロ(試供品)を取り出しました。日の光を浴びて、薄い珊瑚色のグロスが光り輝いています。


「姫様っコレ素晴らしいです!今日、ルヴィオリーナ妃殿下にも『唇の色、可愛いわね』て褒められましたし~何といっても今日、護衛のサバテューニ様に『アネロゼさん、おはよう』て声かけてもらえました!」


 サバテューニ様に声かけされる、そこ重要ですね!


 確かにTHE王子様ドンピシャな容姿ですものね。


 周りのメイド達からも


「いいなぁ~アネロゼ!」


 と、賛辞の声が上がっています。


 ごめん昨日、偶然にもサバテューニ様の寝顔見ちゃったわ。こんなことばれたらメイド達に恨まれる。


「でね、そのリップグロを買うとしたらアネロゼだったら、少し思い切った金額なら買えるかな?」


 隣に居たメイド達もリップグロを手の甲に落として唇につけている。うん、着けた瞬間の発色もいいね。アネロゼの唇も見た。うん、馴染んできた色合いも綺麗だね。


「どれぐらいのお値段になる予定なんですか~?」


「私も欲しいです、姫様っ」


 メイド達は囲まれます。えっと、メモ帳をチラチラと確認します。


「なるべく木貨二枚以下辺りのお値段にするつもり」


 様子を見て想定価格より少し低めを提示してみました。


 アネロゼはホッとしたような顔をしましたが、後ろのメイド達(少し年上)はやったね!みたいな顔をしています。


 ふむふむ……アネロゼには適正価格。お姉様方には割安価格と。メモメモ……


 私が使用感や後、他の色なら何色がいいかなど聞き取りしている間に、ヴェル君がメイドのお姉様方に囲まれていました。


「アネロゼに聞きましてよ、カデリーナ姫様の護衛をなさっているとか?」


「昨日、エーマントにも行かれたんですってね?」


「朝、出陣の時にお見かけしましたけど、ホント美丈夫でらっしゃいますのね~」


 あら……段々おかしな方向に。


 お姉様達が黄色い声を上げ始めましたので、私は用事があるからとヴェル君と場所を移動しました。


 これだからイケメンは……


「カデちゃん、怒ってる?」


「怒ってませんよ?」


 ヴェル君に手を引かれました。庭の木々の少し影になっている所です。ヴェル君の魔力が少し怪しい色合いを放っています。


「どうして怒ってる?少し魔力が揺らいでる」


 ああ、もう……お互い魔力波形が見えるって便利なようで隠し事が出来ませんよね。


 いけないこととは思いつつ、少し木々の間でイチャイチャしました、すみません。


 気を取り直して……


 ヴェル君がフィリペラント殿下に御用があるという事で、魔術師棟にやってまいりました。


 一階の受付兼詰所にヴェル君が声をかけました。


「失礼、魔術師団長フィリペラント殿下は居らせられますでしょうか?」


 受付に居た人が一斉に私達を見ました。その中に居たのは……


「ヴェルヘイム様~昨日はお疲れ様でした!」


 あ、あの子はあぁ!?魔術師のアイドル君!今日も目が大きくて可愛いっ!


「テリンか、昨日はお疲れ」


 ちょ……ちょっ!?彼はテリン君というのね。それはともかくっ!なぜにヴェル君がそのテリン君の名前を知るような関係になっているの?


 テリン君はチョコチョコと走って来ると「今日はどんな御用ですか?」と、上目使いにヴェル君を見上げました。


こっこれが本物?本場?のあざと可愛いという姿なのねっ!お姉さん眩しいわっっ!


「殿下に術式を届けに……」


 ヴェル君が言いかけた時に奥から声が聞こえました。


「やあっ!ヴェル待ってたよ~あ、カデリーナ姫も御機嫌よう!」


 元祖、みんなのアイドル、フィリー王子殿下様が颯爽とやって来られました。


 ま、眩しいっ!ヴェル君も眩しい目をして殿下を見ています。一緒に眩しい生き物が近づくのを待ちました。


「もしかして、汎用型の術式が完成した?」


「はい、それと放出の術式を、ロブロバリント様のように魔石にも籠めてみました」


「えぇ?それでどう使うの?」


「触れると発動するよう強化しましたら、一気に魔力切れの症状を起こすことが確認出来まして、完全に禁術ものですがフィリー殿下の御望みの嫌がらせから、使いようによっては時限性の攻撃型魔道具に……」


 ふふふ……とフィリー殿下から忍び笑いが聞こえます。周りにいらっしゃる魔術師のおじ様達からも黒い笑いが起こります……怖っ!


 ヴェル君は詰所の中に入られて殿下達と魔術式のお話を熱く語っております。


「カデリーナ様、こちらでお茶でも如何ですか?」


 きゃあ、アイドル、テリン君がふんわり笑顔で私を招いてくれました。優しい子ですねぇ~


 そうだわ!


 ヨジゲンポッケの中を漁ります。


「テリン君よかったら、これ召し上がってね」


 チョコプチケーキの袋を差し出しました。


 テリン君の顔が輝きます。


 しまったっ至近距離で、眩しいいぃぃ!


 テリン君は早速チョコプチケーキを頬張っています。可愛いわね~


 ……あら?魔術師様に囲まれた集団の中から、ヒットマン、ヴェル君のお菓子を狙う瞳がチラチラ見えますよ。大人げないですよ、ヴェル君。


 そして、剥れるヴェル君にドーナツを渡しておいて、しばらくテリン君を愛でてから魔術師棟を離れました。そして最後は騎士の詰所です。


「厩が横にあります所が、騎士の詰所になります。近衛の皆様はその横の棟になります」


「とりあえず、ジーニアスの魔力の廻りがどうなったか気になる」


 あっ!そうですね。午前はお休みですがお昼から出勤でしたね。近衛の詰所を覗いて見ました。


 あ、ロアモンド様とお顔は存じていますが、複数のイケメン近衛の方々がいますね。


「ロアモンド様、お疲れ様です!」


「おぉ~姫様こんにちは。ヴェルヘイム閣下もご一緒で」


 私はヨジゲンポッケの中から、ドーナツを入れた籐籠を取り出しました。


「はい、ロアモンド様!差し入れです」


 ロアモンド様がすごい笑顔で走って来ました。籠を渡します。


「これは!姫が幻術で出されていた、あのお菓子ですか!?」


 ロアモンド様すごく喜んでますね。うふふ~


 そういえばジーニアス様どこかに行かれているのかしら?魔術の廻りどうだったのかしら?


 この時……私はまだ忍び寄るモノに気が付いておりませんでした。呑気にもドーナツを摘まんで笑っていたのです。






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