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魔将軍のご主人様になりました  作者: 浦 かすみ


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3/47

魔将軍の父との遭遇1

説明回になります。

10/31行間と一部言い回し修正しております。内容には変化はありません。




 ソッと胸に置いた手に、私の魔力を乗せて魔神の息子(仮)の魔力の塊が解れて体を廻るイメージをする。


 よしっ!ゆっくりと魔力を彼の中に流し込む。彼は一瞬体をピクリと動かしました。


 魔力の流れを目視してみました。微量だが私の魔力に乗って彼の固まった魔力が流れていきます。とりあえず魔力切れでの命の危機は脱したようです。ホッとして少し脱力してしまった処へ、思い切り鼻で息を吸い込んでしまいました。


 臭いっっ!は……は……鼻がもげる!!


「もうだでまずね、ろうろこちらえ」


 鼻を摘まみながら魔神の息子(仮)を檻の外へ出るように促しました。出てくれるかな?


 しばらく無言の睨み合いが続きました。いえ顔の周りが毛むくじゃらすぎてコッチ見てるのかは謎なんですけどね。早くしてくださいよ、鼻が限界だよ!


 ごめんね?こんな通りの真ん中で派手に魔法使いたくないのよ。


 私は口で息を吸い込んで彼の耳元に囁きました。


「あなた魔神様の息子さんですよね?」


 ユラリと魔力の揺らぎを彼から感じました。


 どうしよう?怒らせてしまいましたか?


 と、不安になりつつ凝視しておりますと、のっそりと彼は立ち上がりました。私は慌てました、非常に慌てました。いつもの三倍くらいの速度で動きました。羽織っていたマントを一瞬で脱ぎ、彼の腰に巻き付けました。


 危ない!それは魔神の息子の息子がトラウザーズの隙間からコンニチハしていたからです。


 奴隷商のおじさんから動いた!立った!との声を頂きつつも、のっそりと動く息子の息子……違った、魔神の息子(仮)を路地裏へとなんとか誘導しました。


「まずは治療と回復と浄化の魔法を使わせていただきますね」


 私は彼に向き合うとすぐに魔法を発動しました。鼻がもげそうな匂いが瞬時に無くなりました、これで安心です。個人的には浄化の魔法が一番重要でした。


 私は彼の手を取りました。まだ、魔力は完全に循環はしていません。早く治療の続きをしなければ……


 後々よく考えれば、魔神の息子?かもしれない殿方を、無防備に連れ帰るなどは褒められる行為ではありませんでした。しかしその時私は早くこの方を助けなければと、そればかり気にしていました。





 魔神様(父)との遭遇は一週間ほど前のことでした。


 私は自作の化粧水の材料になる、ハトムギっぽい植物とアロエっぽい植物の採取に裏山へ出かけていました。こちらの世界にはお花から抽出された花水とやらがあるのです。ですが、花で顔を濡らしてもシミや皺は消えません。切ない現実です。


 どうやらこちらには、ある一定の効果を謳った美容化粧品がないことに私は気が付きました。ならば自分で作ってみようかなと、思い至った次第です。


 はい、という訳でそうこうしている間に、今ではオリジナルブランド『プラリューニ』を起ち上げて張り切って化粧品開発を手掛けております。


 母国では大人気ですよ。私が住んでいるここ、カステカート王国でも話題になりつつあります。しかし母国に比べて知名度はまだまだです。もっと販売戦略を練らねばなりませんね。


 販売と製造を一手に扱っている『ユタカンテ商会』のカステカート支部にも、そろそろ顔を出して発破をかけておきましょうかね。


 商売としてはやることはたくさんありますので、毎日忙しくすごしております。諸事情により絶賛おひとり様街道をまっしぐらではありますが、まだまだ行き遅れではございません。断じて遅れてはございません!


 私まだ18才ですしね!平均嫁ぎ時期年齢が16才でも関係ないですよ!私は世のお嬢様方と違って手に職がございますしね。長ーい長ーい転生人生のお蔭で、行動力と技術開発力はありますよ。


 なんと言っても転生のプロですからね、過去の転生人生で薬師を営んでいたこともありますし、こちらに転生してきて薬師の知識が随分と役に立ちました。


 人生に無駄なし!


「あ、あったあった!アロエさ~ん」


 こういう感じで独り言も多くなります。おひとり様とはそういう生き物です。


 私は手持ちの籠にアロエっぽいものを、丁寧に地面から抜き取り入れていきました。根の方にも美肌効果があるようなのです。(私の実験結果より)


 その時、熱心に採取していた私の視界が揺らめきました。


 体中の毛穴という毛穴から、何かが吸い取られるような喪失感を感じます。貧血?魔力切れ?私の背後から力を根こそぎ吸い尽くす何かが近づいてきます。


 何かが確実にいます。後ろを見るのが恐ろしいです。


 私はその近づいてくる何かの正体が分かりかけていたからです。


 ま……魔人!?こんな人里に!?


 本来、魔の眷属達は魔素の濃い森や山岳に住んでいます。動物や人間等の生物が魔素に長時間触れることによって、魔の眷属になるといわれています。獣なら『魔獣』それらが進化したり知能が高くなると『魔物』そして人が魔素にさらされ続けると『魔人』になるといわれています。


 私は幸いにも魔人にはお目にかかったことはありません。魔素の強い森や山岳など特定の地域は各国、万全の対策をとっておりますし、立ち入りは法律で禁じられており、魔素に触れる危険性は無いのです。


 普通にしていれば……ですが。


 人間側からは立ち入り禁止といっても相手は元獣ですから、魔素に触れ魔獣や魔物に変質してしまったモノ達が、人里に現れることもあります。各国、名称は様々ですが対魔獣討伐隊のような国管轄の組織も存在しますので現れれば即通報されて、討伐されるはずです。元獣ならば……ですが。 


 恐ろしいことに魔人は元人間、知性があります。そして魔人になったモノ達は狡猾です。人の目を掻い潜り人間を襲います。おまけに魔人は魔素により人間の何倍もの魔力と身体能力を備わってしまうといわれています。


 何度も言いますが幸いにも、私は魔人にはお目にかかったことはありません……でした。


 この瞬間までは。


 ああ!神様、仏様!こんな時に異世界の神様に縋ってしまう私は根っからの日本人です。最後の異世界転生人生は昭和生まれのおばさんでしたが何か?


 そんなことを思い出している時ではありませんでした。私はソロリと後ろから近づく魔の眷属を顧みました。


 はっ!?振り向いた瞬間に目が潰れたらどうしよう?目が目がっ!?○スカごっこして現実逃避をしても逃げられないかもしれません。


「ヴェル君みーつけた!あれ?ヴェル君……じゃないよね?初めまして、娘さん!アポカリウス=カイエンデルトです!娘さん、僕の息子君知らないかな?娘さんみたいに超強力魔力持ちなんだけど」


 びっくりしすぎて腰が抜けてしまいました。


 なんと振り向いた所に居たのは、魔人ではなく一人でしゃべりまくる全身真っ黒衣装の、すごい美形のお兄様でした。びっくりしすぎでこのまま気絶しそうです。気絶してもいいですか?



やっと父登場です。アクが強くてすみません

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