魔将軍、買ってみました2
不定期更新です
10/27誤字、脱字修正しました
ここはカステカート王国の首都、アンカレドの中心部にあるバットリラ市場です。
はい、私は今そのバットリラ市場の裏路地にある『奴隷商』の前に立っております。
奴隷商……私には到底許しがたいご商売ですが、一応人権を守られる制度もこのカステカートにはあるので、隣国ガンドレア帝国に比べればマシだと思います。
ガンドレア帝国は奴隷の扱いどころか、国民への圧政で良い噂を聞かないですしね。
おっと、思考が脱線しました。
私はもう一度、奴隷商の店先にある大きな檻の中の殿方に目を向けました。伸び放題の髪、髭も顔を隠すほど生えてます。そして辛うじて衣服は下半身に元トラウザーズみたいな布が張り付いているのみです。ホント辛うじて……大事なところが見えそうです。
しかし臭い。檻の中の魔神の息子(仮)からは異臭がする。近づきたくない。
きっとまともに体を洗っていないのね。奴隷で売りにでてるのだからそりゃそうだね。
「おや、お嬢ちゃんどの子をお買い求めだい?」
店の中からニコニコと、愛想笑いを浮かべながらおじさんが出てきました。
「はい、この彼を……買います!」
私は檻の中の魔神の息子(仮)を手で指示しました。店主らしきおじさんはキョトンとしてます。
「コレ……かい?」
魔神の息子(仮)をコレ呼ばわりですか……いやこのおじさんは気づいてないのだろう。彼の魔力はもう底を突きかけている。至近距離に近づかなければ気づかないほどの微量な魔力。魔力が枯渇しているのだ。早くしなくちゃ魔力切れで命の危険が……私は焦ってきた。
「はい、この彼です。いいのですよね?売りに出ているのですよね?」
私は彼が入っている檻にぶら下がっている値札を見た。ん?銀貨十枚?や、安い……
貨幣価値は銀貨一枚でだいたい某テーマパークの入場券くらいです。
何故私がこの某テーマパークを知っているのかといいますと……私は異世界(地球)からの転生者なのです。しかも数十回は転生を繰り返している転生のプロです。転生に関してはプロだといっておきます。ドヤッ!
いけない……思考がまた脱線してしまいました。
私の転生に関しましてはまた後日……ということで、私はショルダーバッグの中からお財布を取り出すとおじさんに銀貨十枚を差し出しました。
気が焦ります。おじさんは「ホントにいるの?」と聞きながら購入用紙を私に差し出しました。私は記載事項を読み、署名しておじさんに返しました。
「あんまりお勧めしないよ?コレ」
「どうしてでしょう?」
「首のココ見て……ホラ、ガンドレアの奴隷印。コレ、ガンドレアから来てるのさ。あの国は奴隷の扱いが悪いからね。折角買ってもらったはいいけど使い物にはならないと思うよ」
私は彼の首元を見つめました。確かに魔術印があります。アレが奴隷印……痛そう、酷いな。
「使い物にならないとは?」
おじさんは困った顔で魔神の息子(仮)チラリと見ました。
「ここに来る前にも何軒か奴隷商を渡って来てるんだけど、まるで人形みたいな大男さ。この檻に入れるのも動かないから数人がかりで抱えたよ、何の役にも立たねえさ。なんでも、道で倒れてたのを拾ったっていうし、元いた処でも役立たずだから捨てられたんじゃねえかね」
道で拾った……魔神の息子(仮)が落ちていたのだろうか?すごい拾得物だ。
とりあえず売買契約は成立しているので檻のカギを開けてもらい、ゆっくりと檻の中に入った。私の後ろにいる店主のおじさんからは「大丈夫かい?近づいたら危ないよ!」と、妙な声援を受けている。
危ないも何も、魔力が枯渇しすぎて指一本も動かせないはず。例え魔神の息子(仮)でも動けないはず。……多分?あまりにおじさんが後ろで危険だよ!と騒ぐから自信なくなってきたぞ。
私は彼の前に膝を落とした。ぅう……臭い。我慢だ我慢。本当に無反応だ。彼からは私が近づいた際の警戒する魔力の揺らぎも一切感じない。
「緊急につきお体に触らせていただきますね」
私はそう一言告げると、魔神の息子(仮)の体の魔力の流れを目視した。
……これはひどい。心臓辺りの『魔術凝り』が一番溜まっているが、体全体の魔力の流れが節々で遮断されている。
とりあえず凝りをほぐすのが先だと判断し、私は彼の胸にソッと手のひらを乗せました。
ラブコメになるんでしょうか?(笑)




