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てきとー転生英雄譚  作者: 腐れ紳士
じっせんのしょう
44/56

そのに

「帝国騎士団第3小隊隊長のアルノー・デア・フィンケです。先日訴えのあったゴブリンの駆除に来ました」


 一週間ほどかけて俺達はハーネス村に到着した。フィンケ隊長が村長と業務手続きをしている。……隊長、あなた士爵だけど平民相手にも丁寧なのな。まあ居丈高よりずっといいけど。


「これはこれはご丁寧に傷み入ります。正直な所、この程度の事件では騎士団では取り扱っていただけないかと思い、傭兵団を雇おうか悩んでおりました」

「お気持ちはごもっとも。今回は偶々動ける部隊がありまして。

 公務なので傭兵に支払う金銭は不要ですが、兵士達が任務中寝泊まりする場所だけ提供願います」


 騎士団の役目は帝国を守ることであり、当然そこには今回のように妖魔や山賊から村人を守ることも含まれる。

 しかし、実際には貴族や帝室を守ることが優先され、平民風情など、という事も珍しくない。まあ今回は訓練を兼ねて出動となった訳だが。

 そんなわけで、現実的には軍が動いてくれたらラッキー、くらいのノリで嘆願書を出し、実際には傭兵団を雇うのが一般的になる。無論高くつくが、10匹のゴブリン討伐に15は傭兵を派遣する着実さのため、まず失敗がないのが特長だ。

 傭兵を雇う金銭も無いと冒険者に話がまわるが、物語と違い、基本的に冒険者とは組織に馴染めないアウトローである。さらに彼らは数人単位で動くことにこだわるため成功率が低い。

 要するに、今回は村人にとっては最上級の流れになったと言えるわけだ。


「それは勿論、と言いたいのですが、誠に申し訳無いのですが、さすがに50人からなる部隊となると、村人の家に泊めるには分散していただいても難しく……」

「それは無論です。我々は野営の準備をしておりますので、場所だけ用意していただければ」

「ああ、それは誠に助かります」


 そんなかんじでフィンケ隊長と村長の話は進み、任務中は村外れに野営をし、村にあるという温泉は謝礼代わりに俺達に最優先権を保証するから自由に入ってくれとのこと。まあ任務があるからそんな気楽には入れないが。

 ……結局、その日は温泉に入ることもなく終わった。野営の準備が思ったより手間取ったのと、何よりもほとんどの兵士にとっては初めての行軍で、疲労がたまっていたのが原因だ。フィンケ隊長は任務が終了したら、交代で全員ゆっくりと温泉につかり、その上で帰途上にある都市レガルトで一日の自由時間を与えると言っていたので、それまでの辛抱だ。



 翌日。ゴブリンは西の森の方からくる、ということで、斥候兵が先行してゴブリンの足跡を追跡している。俺たちはそのあとをやや遅れてついていき、斥候の情報があり次第一気に突撃する予定だ。

 ちなみに、今回の部隊の構成は新米一般兵が30人、新米斥候兵が10人、帝国騎士団第3小隊が11人。そして第3小隊には2人の新米騎士がいる、という構成だ。これだけでも問題が多いのに、第3小隊の騎士はその実力は皆揃って平均未満。

 はっきり言おう。この面子で最強決定戦をやったら、俺はぶっちぎりで優勝する自信がある。魔法抜きでもありでも、な。


「しっかし、ゴブリンって強いのかな? 俺稽古と試合以外で戦ったことないんだよ~」


 俺と並んで歩きながらぼやいているのは、モデスト・デア・コッパという南方人の少年だ。俺と同期で入った新米騎士の一人で、黒い肌とドレッドヘアーのナイスガイ……というほど美男子ではないが、屈託のない笑顔が好感を与える。今は軍支給のチェインメイルと盾と剣の基本スタイルをしているが、得意な武器は本当は槍らしい。ま、俺も武装は一緒なんだけどな。

 こいつも春の馬上試合(トーナメント)に出場しており、3回戦まで進んだそうな。その結果から腕を見込まれて推薦を得たとか。1回戦負けの俺とは偉い差だ。


「1体なら大したことないだろ。ただ、数で攻めてくると思うから、そこは覚悟しておいて方がいいな」

「うへえ。そういうの苦手なんだよなあ」

「泣き言をいうな。騎士ってのはお飾りを抜いたら普通は並の兵士より強いんだから、当然敵は数を頼みにすることが多いっての」

「こらそこ。無駄口を叩かないでくださいね」


 部下にも丁寧な口調の我らが老隊長に怒られ、謝罪する。すると、ちょうどそのタイミングを見計らったかのように斥候からの報告が来た。


「ゴブリンはこれより西南西、500メルトほどの地点にある洞窟を中心に集落を作っている模様です。内部には入れないので数は不明ですが、入り口がかなり大きいため、奥行くもあると思われます。外部には8匹ほどいました。

 それと、これは別のものが村の方面を見に行ったときに聞いた話なのですが……」

「……何ですと? 子供たちが数人、こちら側に遊びに来た?」

「はい。大人は無論止めたのですが、子供はとかく無原則ですから、親の目を盗んだそうです」

「そうですか。ご苦労でした。

 話は聞きましたね。ゴブリンの数は未知数。最悪ロード級がいるかもしれませんが、同時に子供たちが危険にさらされている以上、もはや一刻の猶予もありません。

 これより、全軍を持ってゴブリンの巣穴に強襲し、子供が迷い込む前に壊滅します!」

「「「応っ!」」」

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