そのいち
「ただいま」
「お兄ちゃんお帰りなさい。参加はちゃんとできた?」
「ああ、予選は3日目の第三試合だとさ」
10歳になりだんだんとしっかり者になってきたアリスに答える。この分じゃあお嫁に行ってしまうのもすぐか知らん? などと益体のない考えが脳裏をよぎる。しょうがない話かもしれないが、やはりさびしい。まあ、まだ浮いた話どころかカイル以外の男友達の存在を聞いたことすらないけどな!
そもそも、アリスは基本的に家から出ない。大体は俺が引っ張り出すか買い物くらいだ。親父とお袋があまり外に出したがらなかったせいでもあるんだが、なんでなんだろうな?
ちなみに馬上試合の予選はバトルロイヤルだ。
なにせ今年の参加人数は1384人。本戦枠は128人である。1対1の戦いを長々とやる時間はない。よって一チーム10人ないし11人のバトルロイヤルとなるのだ。
この馬上試合は正規の騎士の参加は不可であるものの、帝国側も人材集めに利用しているため、予算や会場などがかなり優遇されており、予選のバトルロイヤルを同時に5試合は行えるのだが、それでも予選で5日間はかかる。なかなかに国を挙げての一大イベントなのだ。カイルの実家も書き入れ時だろう。
カイルと言えば、最近ミリアといい感じらしい。カイルがミリアを見てたのは昔からだが、ミリアがカイルを意識しだしたように思えるのは……トロールのあたりからだろうか? まあミリアはツンデレだから大変だろうけど。うまく行ってほしいものだ。
「最悪でも予選は突破したいもんだ」
でないと騎士になるはめの推薦を貰う機会さえ手に入らない。
「お兄ちゃんなら大丈夫だよ、だって強いもん。予選突破なんて小さな事言わないで、もっと大きな目標立てようよ!」
「ん、そうだな」
そうだった。弱気になって小さな目標しか立てなかったら、それ以上の結果を出せるはずがない。掲げるなら分不相応にでかい目標で。
それに、せっかくの剣と魔法の異世界ファンタジー転生だ。幸い才能もあるらしい(親父談)し、ここはビシッと決めて成り上がりサクセスストーリーを成功させないとな。
「よしっ! 目標馬上試合優勝! やるぞ!」
「……さすがにそれは無理じゃないかな……?」




