そのじゅうはち
14歳になった。そしてその年初め、お袋が倒れた。
「「「母さん(お母さん/クリス)!?」」」
口々にお袋を呼びながら駆け寄る俺ら。お袋は、その声も聞こえず、ただ蒼白な顔で気絶するばかりだった……。
ベッドに寝かせ、医者を呼び。診察してもらった結果は、流行病、ということであった。
確かに、去年の暮れから性質の悪い病が流行っていた。噂では、今上陛下もかかっているらしい。
「現状、確実に効く薬は存在しません。食事をとり、体力をつけ、病に自力で打ち勝つしか手はありません。金銭に余裕があるのでしたら、神殿に赴いて奇跡を願うという手もありますが……」
神に仕える神官の中には、神に祈りを捧げることで奇跡を起こすことができるものがいる。要するに魔法の一種だと思うのだが、治癒や守りに特化しているようで、普通の魔法では起こせない奇跡が起こせるという。
だが、実際にそのような奇跡が起こせる神官は一握り。この帝都を見渡しても10人といないという。さらに、病の治癒の軌跡は難易度が非常に高い。その病の進行度、そして病に対しての術者自身の知識がそのまま成功率に関わってくるらしい。そのため、この奇跡を起こせるものはさらに少なく、結果として皇族ですら簡単には払えない額の寄進が必要となるらしい。もちろん、我が家にそんな蓄えはない。ついでにコネがなけりゃ頼むこともできなさそうだ。
「でしたら、やはり自力で立ち直るのを祈るしかありません。私からは症状を緩和する薬を煎じましょう」
医者はそういって薬を出し帰っていった。……去り際に、皇帝陛下に神殿の最高司祭が奇跡を行使したが失敗したらしい、と付け足して。
……金、あってもダメじゃねえか。




