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てきとー転生英雄譚  作者: 腐れ紳士
てんせいのしょう
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そのなな

 突然だが、妹ができた。

 妹といっても、お袋がお腹を痛めて産んだ子ではない。親父が仕事の帰りに拾ってきたのだ。

 ……と、こう書くと親父が幼児誘拐犯みたいなので、順を追って説明しよう。


 その日夜勤だった親父の仕事が終わり、家に帰ろうとした時のことだ。

 隊舎を出ると、その脇、暗闇の中に人影が見える。親父は誰何の声を上げ近寄ったが、人影は完全武装の親父では追い付けない快速で逃げ出してしまったらしい。

 一つフォローしておくと、完全武装で戦い、時に逃げる相手を追いかける必要がある親父の足は、たとえ鎧を着こんでいても遅くはない。そのため、人影は魔法を使って速度を上げたことは疑いえない。

 で、せめて何をやっていたのかと、人影がいた場所まで行って見ると、生後半年の赤ん坊が捨ててあったのだ。恐らくは我が子を育てられなくなった母親が、せめて金のある貴族に拾ってもらえるようにと隊舎の近くに捨てに来たのだろうと思われた。

 ……尤も、金を捨てるほど持ってる貴族が素直に育ててくれる保証なんてないわけだが。


 で、普通に考えれば孤児院に連れて行くところなのだが、たまたま我が家ではお袋が娘も欲しいなんて話をしていたので、せっかくだからと親父が引き取ることにしたらしい。


「ウィル、お前の妹だぞ。名前はアリスと決まった」

 親父が見せてくれた赤子は、銀の髪と空色の瞳を持つ子で、まあ赤ん坊だからなんだろうが、とても愛らしい。


「ウィル。お前は今日からお兄ちゃんになるんだ。お兄ちゃんは、母さんと、妹を守るものだ。お前は剣と魔法を学んでいるのだから、このことを忘れず、ちゃんと家族を守れる男になるんだぞ」

「うん。僕、強くなってお母さんとアリスを守るよ!」


 こうして、成り上がるとか、そんなものは関係なく。俺は強くなる理由が一つ増えたのであった。

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