↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
86/200

役職機能

第八十五話 名前の隣の役目


 晴が同盟全体へ連絡を入れたのは、朝の報告がひと通り揃ったあとだった。


『新しい機能が増えています』


 その文の下に、役職の一覧が添えられていた。


 副盟主。


 指揮官。


 一騎当千。


 外交官。


 俺は最後の文字を見て、なんとなく嫌な予感がした。


 ほどなく、晴から個別の連絡が来た。


『あとで、少し相談してもいいですか』


 まだ何も頼まれていないのに、俺は机の上の書簡を見た。


     *


 副盟主という役目は、前の世界にもあった。


 俺も、その名で呼ばれていた。


 ただ、今回の説明には、同盟を動かすための権限が、はっきり記されていた。


 基本的には、盟主と同じことができる。


 加入の対応。


 同盟内の設定や管理。


 それ以外にも、盟主だけが処理していたことを分けられる。


 ただし、除名はできない。


 俺はその一文を、少し長く見た。


 誰かを迎えることと、誰かを外へ出すこと。


 その両方を同じように任せる仕組みではなかった。


『副盟主ができるなら、晴が全部返さなくても済むね』


 杏が書いた。


『助かります』


 晴の返事は早かった。


『でも、最初の挨拶はしたいです』


『挨拶してる間に、手続きを進めてもらえばいいんじゃない?』


『それ、いいですね』


 俺は笑った。


 晴がやりたいことを残しながら、ほかの仕事を分けられる。


 役職を増やすなら、そういう使い方がよかった。


     *


 指揮官の説明には、全員が少し静かになった。


 同盟全体へ効果を及ぼす技能。


 攻撃。


 防御。


 速度。


 それぞれに、最大で一割の補正がかかる。


 俺は数字を読み直した。


 何倍にもなるわけではない。


 弱い部隊が、それだけで別物になるほどの差でもない。


 しかし、同盟全体だった。


 一つの部隊が少し強くなるのとは、話が違う。


『速度もか』


 岳が書いた。


『予定を組む時に、入れないといけないな』


 葉からも連絡が来た。


『最大で十パーセントですね。任命した時点で全部その数値になる、とは書かれていません』


 俺も説明を確かめた。


 使える技能と、実際の補正。


 そこは、任命してからも確認が必要だった。


『発動する人が変わるたびに、予定を直すのは困りますね』


 別の名前から、文が届いた。


 宗吾だった。


 第三世界出身。


 北西の猫にいた者ではなく、この世界で近くになった君主の一人だ。


 同盟に入ってから、出兵時刻についてよく質問していた。


 細かい人だとは思っていた。


 だが、細かい理由までは、まだ知らなかった。


     *


 一騎当千は、五人まで指定できた。


 任命された君主の武将へ、最大で一割の補正がかかる。


 五人。


 俺は同盟の名簿を開いた。


 強い武将を持つ者は、増えている。


 第四世界から来た者たちだけではない。


 砦で技能を育て、重ね方を工夫し、最初より明らかに動けるようになった者もいた。


 その中から、五人。


 誰を強くするかは、同盟が何をしようとしているかにも関わる。


『巨嶽に付けたら、さらに強いですね』


 誰かが書くと、晴が答えた。


『そうですね。でも、ほかの人も見たいです』


 俺は名簿から顔を上げた。


 晴は続けた。


『私がいない時にも、砦へ行けたらいいので』


 巨嶽がいる日は進む。


 巨嶽が戻るまで待つ。


 少しずつ、そういう予定が増えていた。


 晴は嫌がってはいなかった。


 けれど、気づいてはいたらしい。


     *


 外交官の項目は、戦闘の役職より長かった。


 書簡の送受信と整理。


 各方面から集まる報告の管理。


 情報の照合や、データの分析。


 同盟の外と内を行き来する情報を、扱いやすくする機能がまとまっていた。


 俺は、読み進めるほど黙った。


 机には湊の手紙がある。


 巌と佐伯からの書簡。


 瀬名への返事の控え。


 近隣の取得予定。


 これから使う道についての、まだ返していない相談。


 晴が相談したいと言ってきた理由が、だいたい分かった。


     *


 夕方、俺たちは晴の城に集まった。


 全員ではない。


 近くにいて来られる者と、役職について話を聞きたいと言われた者たちだった。


 広間に入ると、見慣れない配置の椅子が並んでいた。


 以前なら、玄が座る場所が分かった。


 律が資料を置き、葉が筆を出す場所も、だいたい決まっていた。


 今日は、知らない組み合わせで人が座っている。


 俺は空いた椅子を探し、机の端へ腰を下ろした。


 隣にいた女が、少しだけ椅子を引いてくれた。


「ここ、狭かったですね」


「いや、大丈夫です」


「資料を置くなら、こっちを使ってください」


 千景だった。


 第四世界から来た君主で、同盟に入ってから、加入者への案内を何度か手伝っていた。


 俺が名前と顔を一致させたのは、最近だった。


 晴が新しい仲間の城へ挨拶に行っている間に、必要な連絡を揃えていたのは、この人だった。


     *


「副盟主は、千景さんにお願いしたいです」


 晴が言った。


 千景は驚かなかった。


 事前に話は聞いていたのだろう。


 ただ、返事をする前に、机の上の説明へ指を置いた。


「私が決めていいことを、先に合わせたいです」


「はい」


「加入の手続きや、決まっている方針に沿った対応は進めます。新しく同盟の方針を変える話は、晴さんへ戻します」


 晴が頷く。


「お願いします」


「それと、誰かを外す話が出た場合は、私には実行できません。だからといって、晴さんへ名前だけ渡して終わりにはしません」


 千景はそこで、少し言葉を選んだ。


「何があったのかは、一緒に確かめたいです」


 晴はさっきよりゆっくり頷いた。


「はい。それは、お願いします」


 俺は二人を見た。


 権限がないから、自分には関係がない。


 そういう線の引き方ではなかった。


 千景は、できることと、引き受けたいことを分けて話していた。


     *


「前にも、こういう役を?」


 俺が尋ねると、千景は首を傾けた。


「役の名前は、ありませんでした。八人しかいなかったので」


「八人」


「誰が来られるか聞いて、来られない人へあとで説明して。気づいたら、私がやっていました」


 そう言って、小さく笑う。


「こちらへ来た時は、しばらく自分の城だけ見ようと思っていたんですけど」


「すみません」


 晴がすぐに謝った。


 千景は首を振った。


「嫌なら、断っています」


 それから、晴を見た。


「ただ、私が受けるなら、晴さんも頼んでください。私が手を出すまで、一人で抱えないで」


 晴は少し考えてから答えた。


「分かりました。じゃあ、明日の加入希望の方への返事から」


「はい」


「私は、その人のところへ挨拶に行きます」


「その前に、お名前と場所を教えてください」


 広間に笑いが起きた。


 千景も笑って、筆を取った。


     *


 指揮官には、宗吾の名前が挙がった。


 宗吾は机に肘をつかず、背筋を伸ばして座っていた。


 年齢より少し疲れて見えるのは、目の下に影があるせいかもしれなかった。


「私でいいんですか」


「宗吾さん、いつも出発前に確認してくれるので」


 晴が答える。


「技能を使う時間も、ちゃんと知らせてくれそうだと思いました」


 宗吾はすぐには頷かなかった。


「兵を強くする役だと思われると、困るかもしれません」


「違うんですか?」


「強くはできます。ただ、それで無理な予定を通されると」


 そこで、言葉が止まった。


 俺は黙って待った。


 宗吾は説明の紙から目を離さず、続けた。


「前の世界で、到着を合わせ損ねたことがあります」


 広間が静かになった。


「出る直前に部隊を変えました。遅れると分かって、急いで連絡したんですが、もう先の部隊が入っていました」


 誰も、どれだけの損失だったのかとは聞かなかった。


 宗吾の指が、紙の端を押さえていた。


「今度は速くなる側でも、同じことが起きます。途中で補正が変わるなら、そのつもりで予定を組まないといけない」


 俺は頷いた。


「いつ使うかを、部隊の予定と一緒に決める」


「はい。使えるから、今使う、にはしたくありません」


 晴が宗吾を見た。


「それをお願いしたいです」


 宗吾は顔を上げた。


「強くするのと、予定を合わせるのと。両方」


 しばらくして、宗吾は頷いた。


「では、引き受けます」


     *


 一騎当千の五人については、話が少し長くなった。


 晴が最初に名を呼んだのは、昂生だった。


 第四世界出身。


 最初の砦攻略で、技能を育てる話を教えてくれた君主だ。


 昂生は、自分の名前が出ると、腕を組んだまま晴を見た。


「俺を入れるなら、役目は決めてほしい」


「先に入る部隊を、お願いしたいです」


「巨嶽のあとか」


「別の砦でも、行けるようにしたいです」


 昂生の眉が動いた。


 それから、少しだけ口元が緩む。


「分かった。そのつもりで育てる」


 主力は槍を率いる武将だった。


 派手な話し方はしないが、出せる兵と、出せない兵をはっきり伝える。


 今までの攻略でも、できると言った仕事は、きちんと終えていた。


     *


 二人目は里央だった。


 第四世界から来た君主で、騎馬の部隊を使って道を伸ばすのが速い。


 席へ着いてからも、何度か城への連絡を確認していた。


「何か来てる?」


 晴が聞く。


「土地、取り終わったって」


「もう?」


「会議に来る前に出したから」


 里央は答えてから、少し笑った。


「その顔、よくされる」


 補正を受ければ、さらに先へ出られるかもしれない。


 ただ、速い者を先へ出し続ければ、それで済むわけではない。


 岳が地図を示した。


「道を開く時、後ろが追いつけるかは見たい」


「うん。私だけ着いても砦は落ちないし」


 里央はすぐに答えた。


「取る場所を先に決めてくれたら、その中で早いやり方を考える」


 俺はその言葉を聞いて、地図へ目を落とした。


 速さを任せる相手ができる。


 その速さを、どこへ向けるかも考えなければならなかった。


     *


 三人目に、冬馬の名が呼ばれた。


 第三世界出身だった。


 これまで、攻略の先頭に立ったことはない。


 兵を出せるか尋ねられると、少し考えてから答える。主力の武将は、攻めるより守ることに向いていた。


「俺も、ですか」


 本人が一番驚いていた。


「はい」


 晴は頷く。


「前に、皆が砦へ出ている時、残るって言ってくれましたよね」


「あれは、俺の部隊が遅かったからです」


「でも、残って何を守るか、聞いてくれました」


 冬馬は黙った。


 俺も、そのやり取りを覚えていた。


 出ない者として扱われて終わりではなかった。


 留守になる城と、戻ってくる兵の経路を確かめていた。


「一騎当千って名前だから、攻める人だけかと」


「守る人が強いのも、嬉しいです」


 晴が答えた。


 冬馬は机に置いていた手を、一度握った。


「……なら、やります」


 さっきより、はっきりした声だった。


     *


 四人目は朱音だった。


 第四世界出身で、弓の部隊を育てている。


 この同盟で一度、到着を遅らせたことがある君主だった。


 そのあと、以前の仲間を二人連れてきた。


 俺は、その経緯を知っていたから、本人が晴を見る時の表情も、少し分かった。


「この前、失敗しましたよ」


「はい」


「忘れてません?」


「覚えてます。だから、次は確認してくれると思いました」


 朱音は困ったように笑った。


「それ、ちょっと重いですね」


「嫌ですか?」


「嫌では、ないです」


 少し考え、言い直す。


「やりたいです。今の武将、もう少し育てれば、できることが増えるので」


 晴は嬉しそうに頷いた。


 失敗をなかったことにするのでも、その一度で役目を決めてしまうのでもない。


 朱音は任命を受けたあと、宗吾のほうを向いた。


「出兵の確認、私も一緒にやらせてください」


 宗吾は短く頷いた。


     *


 最後は、弥平だった。


 第三世界から来た、口数の少ない君主だ。


 同盟へ入った当初は、主力の武将の位が高くないことを気にしていた。


 けれど、重ねて育てる仕組みを使い始めてから、報告の中身が変わった。


 同じ武将を集める。


 技能を確かめる。


 砦へ出し、前の記録と見比べる。


 一度の攻略で目立つわけではないが、少しずつ損失が減っていた。


「強さだけなら、ほかにもいると思います」


 弥平は言った。


「いますね」


 晴が素直に答えるので、俺は少しひやりとした。


 だが、晴はそのまま続けた。


「でも、弥平さん、使ってどうなったか、いつも教えてくれるでしょう」


「記録しているので」


「補正がついたら、何が変わったかも聞きたいです」


 弥平は初めて、少し前へ身を乗り出した。


「そこは、比べたいです」


「お願いします」


 返事は、今度は早かった。


「はい」


     *


 五人の名前が揃った。


 昂生。


 里央。


 冬馬。


 朱音。


 弥平。


 第三と第四が混じっている。


 最初から強かった者も、今、育てている途中の者もいる。


 俺はその一覧を見ながら、自分とカイの名がないことに気づいた。


 気づいてから、少し笑った。


 寂しくなかったと言えば、嘘になる。


 以前なら、何か決める時には、自分たち七人の中から考えていた。


 新しく入った者がいても、まず知っている相手へ声を掛けた。


 今は、俺がまだ詳しく知らない誰かの働きを、晴が見ている。


 その人へ、次の仕事を頼んでいる。


 カイは広間の端で、出された菓子を食べていた。


 目が合うと、一つ持ち上げる。


 いるか、と聞いているらしい。


 俺は首を振った。


     *


「それで、外交官なんですが」


 晴がこちらを向いた。


 やっぱり来た、と思った。


「お願いできますか」


 俺は机の上の説明を見た。


 書簡。


 情報収集。


 分析。


 以前からやっていたことが、並んでいる。


 ただ、同じ名前でまとめれば、何も変わらず全部を引き受けることにもなりかねなかった。


「聞いておきたいことがある」


「はい」


「俺が外と話してきたからって、それだけで同盟の方針が決まったことにはしたくない」


 晴は真面目な顔になった。


「相談は、持って帰ってくるってことですか」


「決まっている範囲の返事ならする。でも、新しい約束は、内容によって晴や皆に確認したい」


 佐伯の顔が浮かんだ。


 知らない取得予定を、相手から聞かされる。


 俺は以前、それをさせた側だった。


「どこまで話したかも、残す。誰かが俺の名前を出せば話が通る、みたいにはしたくない」


 千景が頷いた。


「私も、その記録を見られるようにしてほしいです」


「ああ」


 宗吾も口を開いた。


「出兵に関わる約束は、早めに知りたいです」


「分かった」


 話しているうちに、引き受ける形が見えてきた。


 俺が全部を決めるわけではない。


 ただ書簡を右から左へ流すわけでもない。


 何が分かっていて、何がまだ分からないのか。


 誰が何を望んでいるのか。


 それを、同盟の中で判断できる形にする。


     *


「律さんに頼まなくていいんですか」


 俺が尋ねると、晴は少し驚いた顔をした。


「律さん、今は自分の同盟があるでしょう」


「そうだけど」


「それに、私は、あなたにお願いしたいです」


 俺は黙った。


 晴は机の上に、手を置いた。


「近況の手紙、たくさん来てましたよね」


「ああ」


「強い同盟の人も、昔の仲間も」


「うん」


「その人たちのこと、名前だけじゃなくて知ってるから」


 俺は目を伏せた。


 湊が余らせた鍋。


 佐伯が相談された魚の絵。


 巌が待った酒。


 瀬名が書いてきた、会議のあとの話。


 役に立つ情報だけを選べば、いらない部分も多い。


 けれど、その部分を知っているから、次に届く文の読み方が変わる。


「会議は増えるぞ」


 俺が言うと、晴は少し申し訳なさそうに笑った。


「たぶん」


「嫌なんだけどな」


「知ってます」


 広間の何人かが笑った。


 俺も笑ってから、頷いた。


「分かった。やるよ」


     *


 任命は、その日のうちに行われた。


 盟主、晴。


 副盟主、千景。


 指揮官、宗吾。


 一騎当千、昂生、里央、冬馬、朱音、弥平。


 外交官、俺。


 名前の隣に、新しい表示がついた。


 それだけで急に、何でもできるようになったわけではない。


 千景は加入希望者の一覧を開いた。


 宗吾は、使える技能と実際の補正を確認し、次の攻略予定と並べた。


 五人は、それぞれ自分の武将を見ている。


 朱音と弥平が、任命前の記録を持っているかと話し始めた。


 冬馬は岳を呼び、留守になる城の位置を尋ねていた。


 俺も新しく使えるようになった項目を開いた。


 書簡を、相手と用件ごとに整理できる。


 取得予定の報告を並べ、同じ場所の話が重なっていないかを確かめる。


 集まった記録を、地図と照らし合わせる。


 便利だった。


 同時に、何も届いていない場所は、やはり分からなかった。


 隣の同盟が何を考えているかは、聞かなければ分からない。


 返事が来ても、それだけですべてが分かるわけではない。


 俺は最初の書簡を開いた。


     *


 瀬名へ、窓口変更の連絡を書いた。


 先日、同盟の話は晴へ、と返したばかりだった。


 そのことを詫び、新しく外交官を引き受けたと伝える。


 連絡は俺へ。


 ただし、同盟全体に関わる判断は、晴たちと確認して返す。


 そこまで書いてから、佐伯にも同じ内容を送った。


 今度は、後から知らされる形にしたくなかった。


 返信を待つ間に、カイが隣へ来た。


「また偉くなったの?」


「仕事が決まった」


「前と同じ?」


「少し違う」


 俺は新しい名簿を見せた。


 カイはしばらく眺めてから言った。


「知らない名前、増えたな」


「ああ」


「覚えた?」


「今、覚えてる」


 カイは頷いた。


「里央は分かる」


「速い部隊の?」


「菓子を半分くれた」


「そっちか」


     *


 佐伯からの返事は、夜になって届いた。


『承知しました。


 新たなご就任、おめでとうございます。


 窓口と決定権を分けて明記していただけると、こちらも助かります』


 そこで終わりかと思ったら、もう一行あった。


『今回は、先に知らせていただけましたね』


 俺は思わず笑った。


 返事を書こうとしているところへ、千景から確認が来た。


 加入希望者の一人が、近隣の同盟と土地の相談をしているらしい。


 加入前に、どこまで話が進んでいるか聞いておきたいという。


 俺はその者の名を確かめた。


 晴へ全部を戻す必要はない。


 俺一人で判断する話でもない。


『相手と、現在の取り決めを確認します。返事が来たら共有します』


 送ってから、佐伯への返信を開き直した。


『前に教わったので』


 その一文を書いたところで、窓の外に灯りが増えた。


 新しい仲間の部隊が、城門へ着いたらしい。


 晴が迎えに出ていく声がした。


 俺は書簡を送り、次の名前を開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。